「LIVING & DESIGN2017」出展企業インタビュー
革命を起こすコンテナ建築 INSTACUBE

▲会場で目を引く、INSTACUBEの展示。レゴブロックのように積み重ねつなげることで、あらゆる大きさや用途を実現する。

これからの住まいと暮らしを提唱する大阪発の国際見本市「LIVING & DESIGN」は2009年からスタートし、今年で9年目を迎える。今年は10月11日(水)〜13日(金)の3日間にわたり開催される。これまでも出展者×来場者、出展者×出展者のつながりによる商談成立の高さを核に、住空間・リノベーション・インテリア産業の拡大の一翼を担ってきた。

2017年は「MATCHING-つながる、新たな可能性-」をテーマに変容する住まいのあり方や人やものとのつながりに注目。アクシス編集部では開催に先駆けて注目の出展企業に取材。第1回は海外のテキスタイルデザインやサーフェスデザインを取り扱うトークインターナショナル(大阪市)、そして2回目となる今回はLIVING&DESIGN初出展となるCIAOLA(神戸市)を紹介する。代表取締役の三浦平祐さんに話を伺った。

▲CIAOLA代表の三浦平祐さん。

ーー今回の展示の目玉はINSTACUBEということですが、どんな製品か教えていただけますか。

海洋コンテナの寸法でつくられた鉄骨造の建物なのですが、最大の特徴は「どこにでも持って行ける」移動性にあります。ISO規格サイズなので、トレーラーなどに乗せて「建物ごと」移設することができます。震度7に耐えうる堅牢性も兼ね備えているので、移動中の振動に関わらず、窓などの建具を取り外す必要はありません。

また、INSTACUBEは購入後に売却したい場合、私たちも買い取りを行なっています。立地の変更に合わせて手軽に売却できるので、店舗として使用する場合、出店戦略を考えるうえで従来にない強みになると考えています。

▲建物ごと移送できるメリットは多く、荷造りなどのいらない引越しも夢ではない。店舗戦略の変化に合わせた移動も容易だ。

ーー移動可能な建物としてコンテナやスーパーハウスなどがこれまでも存在していましたが、INSTACUBEならではの魅力はどこにあるのでしょう。

自分たちでコンテナの設計から内装のデザインまで一貫して行えることです。これまでもインテリアデザインを多数手がけてきたからこそ提案できる企画のバリエーションが魅力だと思います。

例えばある展示会で隣になったピザ窯屋さんと話していて構想したのが「ピザ屋のパッケージ商品」です。通常ピザ窯屋さんは「ピザ屋を開きたい」と訪ねてくる人たちに対してピザ窯のみを販売しますが、私たちのコンテナ建築と合わせて、ピザ窯が設置されたコンテナごとショップとして販売することが可能です。すぐに開業することが可能ですし、工事費などのコストを抑えることができます。

▲生パスタの店舗をパッケージ化したINSTACUBEの商品。コンパクトながら店舗に必要なものはすべて揃っている。

「建築確認が可能なコンテナ」を販売するというのも私たちならではの商品だと思います。建築確認とはこれから建築しようとする建物が建築基準法などの法令や各種の基準に適合しているかどうかの審査のことです。企画・設計・申請・設置・基礎・外構・設備まで一貫して請け負えるからこそ自信を持って販売できますね。

起業までのフットワークが軽くなるようなビジネスのあり方をデザインをする、そういった発想に今まで関わってきたデザインの考え方が生きていると感じます。

ーーそのほかレンタルも行なっているのですよね。

はい。見本市やイベントなど数日間のみブースを出すような場合に、一からつくって壊して廃棄するのって労力もコストも環境の負荷も大きいですよね。INSTACUBEのレンタルを利用してもらえればそれらを軽減できます。定期的な出店などの条件付きではありますが、無料でレンタルできるパッケージも用意しているんですよ。そのブース自体が何よりの宣伝になりますし、私たちの実績づくりにも役立っています。

ーーLIVING & DESIGN2017でもコンテナごと出展されると聞いています。今回初出展となりますが、どんなことを期待していますか?

出展を決めた理由は、LIVING & DESIGNの主な来場者である建築家やデザイナーの方々にINSTACUBEを知ってもらうことで新たな選択肢を提供したい、と思ったからです。クライアントと接点を持つ建築家やデザイナーに対して、コンテナ建築の面白さや可能性を直接アピールできる場なので、「INSTACUBEをぜひ使いたい」と思ってもらえればいいですね。コンテナを会場で実際に見てもらうことで、従来のデザインや建築の感覚を変えられると思っています。

ーー三浦さんはINSTACUBEを利用した「街づくり」にも関心があるんですよね。

自分たちの街をつくる、街づくりに貢献する、というのを創設当時から会社のビジョンとして掲げています。社員もそのビジョンに共感して集まってきているんです。

街のために何か力になりたい、と考えたときに私の場合はINSTACUBEを使った店舗設計や建築で街を賑やかにすることが思い当たりました。数年後には明け渡さなければいけないような土地でもINSTACUBEは活躍します。従来ならば駐車場になることが多いですが、それは街の景観や活性化を考えたときに良くないですよね。

INSTACUBEなら建物ごとの移動や出店・退店が簡単にできるのをメリットに、若い人たちの出店の後押しや、街の活性化につなげることができます。そこに人をいかに呼び込むかという仕掛けが重要になってきますが、最近移転したばかりの事務所兼カフェバーを自ら運営することでノウハウを習得し、近い将来街づくりに着手する際に生かしたいと考えています。

▲9月末に完成した新しい事務所兼カフェバー。人々が集う仕掛けをつくるなど、街づくりに携わることを見据えた展開だ。

コンテナ建築の可能性と、街づくりを見据えた大きなビジョンに夢が広がります。LIVING & DESIGN2017で実際にINSTACUBEが見られるのを楽しみにしています!ありがとうございました。(インタビュー・文/編集部・松渕彩子)End

LIVING & DESIGN 2017 開催概要

会期
2017年10月11日(水)〜13日(金)3日間
時間
10:00-18:00(最終日は17:00まで)
会場
大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10)
入場料
1,000円
公式HP
http://www.living-and-design.com
主催
LIVING & DESIGN 実行委員会
問い合わせ
LIVING & DESIGN 実行委員会事務局
info@living-and-design.com