色の海を航海するための指針になる
はじめまして。私たち「Design LOG」は自動車などの内外の塗装における新色開発をベースに、「カラー」で多くの人を楽しませ、感動してもらうための研究を日々行なっています。私たちの活動名のLOGには、LOGBOOK/LOGICAL/LOGINの3つ意味があり、航海日誌に集められたたくさんの情報を論理的に整理し、進むべき方向を選んでいくことで、充実した結果にリンクしていきたいというメッセージを込めています。
この連載では、そんな私たちが日常生活や少し足を伸ばした先で感じた変化、改めて気づく「カラー」や「デザイン」について、レンズの種類を幅広く設定し発信していこうと思います。読んでいただいた方のLOG BOOKにメモしてもらえると嬉しいです。
重なりが生む美しさ
ここ最近、日本の伝統工芸が世界的にも注目されていますが、カラーの世界では江戸時代からの伝統色といわれる「かさねの色目」があります。これは薄い絹地が透け感を持って重なることで独特の美しい色調が生まれるというものです。混ぜるのではなく、透けているものを重ねることで動きが感じられ、変化を楽しむという美的感覚は昔ながらのものです。
最近訪れた金沢の21世紀美術館の庭園にあるオブジェ「Colour activity house」は色の基本を思い出させてくれるきっかけになりました。
これはシアン・マゼンタ・イエローの3原色のガラス壁でできた渦巻き状のオブジェです。太陽光の強さ、時間、見る人の位置によって見え方が変わります。色合いだけでなく、明るさも変わっていくことで深みのあるカラーが生まれ、ガラス自体の重なりだけでなく、影の重なりからも思いがけない印象が生まれます。
最近若者の間で流行っている電気ソーダやフルーツインティーも光の透け感と色の重なりによる表情の変化が特徴的で、多くの人の心を惹き付けていると感じます。
ここ数年、自動車においても単層ではなく何層かで構成されることで表現される鮮やかな深みや透明感を持つカラーが注目されています。
人を惹きつける色の魅力はどの時代でも身近なところにヒントがあるのだな、と実感しました。