上海の交差点を制するのは誰か?

▲クルマ、バイク、自転車が入り乱れて先を急ぎます。Photos by Misa Nakata

中国の交差点は、慣れない人にとってはとても渡りづらいものです。

日本では赤信号は停まれ、青は進め。横断歩道を人が渡っていたらクルマは待つ。これが一般常識として浸透しています。

しかし中国では(クルマは右側通行で日本とは逆)、クルマの右折はいつでもOK。歩道をバイクが走るのもOK。なので、渡るときには右も左もしっかり見ないと危ない目に遭うことが多々あります。ただ、ここでためらっていると渡れず、オドオドしているとどんどんクルマやバイクが目の前を横切っていきます。

赴任半年の僕が編み出した技は、「俺は渡るぞ!」という強い意思表示で渡る、ということです。

中国の人は「やりたいことをやりたい、やりたくないことはやりたくない」というシンプルな考えを持っています。日本は「やりたくないけど、みんながやっているからやるしかない」とか「やりたいけど出すぎたことすると目立つからやめておこう」とか考えます。

しかし、多くの中国人はそういうことをほとんど考えません。特に道を通行するといった公共のシーンではみんな極めて自然体です。運転手は早く行きたいから人が渡っていようとも隙間があればクルマを入れてきますし、赤信号でも無理やりバイクが渡ってきますし、道を間違ったらクルマが多くても道のど真ん中でUターンをします。

▲中国で驚くのが、公共交通機関の運賃の安さです。なんとバスは2元(約30円)、地下鉄は3元(約50円)です。

以前目撃したのは、交通量の多い交差点の真ん中でクルマの誘導をしている警察官に向かって、青信号で走ってくる大量のクルマを無視してテクテクと近寄るおばさん。何をしたかったかというと、警官に道を聞きたかったようで……。道を聞きたかったのね、警察官に聞くのが確実だよね、すぐにわかって良かったね……。

ちなみに帰りもおばさんは青信号を突っ切って自分のペースで向こう側へ渡って行きましたが、クルマが彼女を避けていました。

やりたい人がやりたいことをやる。その意志が強い人が先に行く。なので、道を渡るときも俺は渡るという意思で渡ると、クルマが停まってくれます。なぜなら、運転手はわれ先には行きたいけれど、かといって人を轢くと面倒なので停まるのです。ただバスのような大型車は急には停まれないので、これに歯向かうのは命の保障がありません。

こういった思考パターンがわかると、中国での仕事も生活もしやすくなります。これから、この事例をいくつか紹介していきます。End

▲クルマは急に止まらない。特にバスに気をつけて。