「配達するだけ屋」から見えてくる、求められるサービス

▲街の配達するだけ屋。カラフルな制服が目印。Photos by Misa Nakata

上海の街を歩いていると、歩道なのに無音の電動バイクが迫ってきて、ときどき轢かれそうになります。よく見れば、後ろのシートに大きなボックスを固定したバイクが街のあちこちに。青や赤でコーディネートされた服装とヘルメットを着けているので目立ちます。

彼らは「配達するだけ屋」です。あなたが欲しいものを何でも、あなたの代わりに買いに行ってくれて、あなたが望む場所へ速攻で届けてくれるという、これもスマホのアプリを使ったサービスです。

▲赤青黄の配達するだけ屋が、上海にはたくさん走っています。

日本でファーストフードなどのケータリングをお願いするとき、バイク配達サービスを伴う飲食店に連絡しますよね。中国にはその配送サービスだけをやってくれる会社がたくさんあります。例えば青色は「餓了么」(ウーラマ。おなかすいた?という意味)、赤色は「百度」(バイドゥ。ネットビジネスで有名)です。

例えば、お昼ご飯に「○○というレストランの△△というメニューを食べたい」となると、スマホのアプリでポチポチと注文します。すると、彼らがすぐにその店に料理を買いに行き、家やオフィスにバイクで運んで来てくれます。配達が遅れると罰金があるので、彼らも必死に歩道を爆走します。また、お店で食べるより安くなり(口コミ評価を受けるなどのメリット)、ポイントがたまってお得、さらにサービスの良かったドライバーをお客様が評価して、またそれでサービスが良くなるという好循環もあるようです。それは食事だけにとどまらずコンビニやスーパーの買い出しに至るまで、何でもどこにでも運んでくれます。

▲時間厳守のため歩道も突っ走ります。

私の仕事である中国市場の家電では、家電売り場に足を運んで買うのでなく、ネットの口コミで判断して、スマホでポチッと購入するオンラインビジネスが伸張しています。最近は高額商品になればなるほどオンラインで購入するという傾向もあり、それは日本の感覚とはまるで正反対のようです。

理由はもちろん、出かける手間を減らしたいということもありますが、実はメーカーの発信する情報は信じず、むしろお客様の生の声で商品の良し悪しを判断するという中国人ならではの情報収集のコツがあるのです。

日本の約10倍の人口と、日本の約25倍の国土面積を持つ中国。無数にある商品の中から、正しい情報で自分に最適なものを見極めて、最速かつ手軽にサービスを受けるための仕組みのひとつが、配達するだけ屋さんなのです。End

▲デパ地下にも買いに来ます。