ミラノサローネ / ユーロルーチェ2017
「Astep(アステップ)時を超えた創造と革新」

▲アステップの創業者アレッサンドロ・サルファッティ。

2014年デンマークに設立された照明メーカー Astep (アステップ) 。代表のアレッサンドロ・サルファッティの祖父ジーノ・サルファッティはイタリアの照明文化に大きな影響を与えたメーカーArteluce(アルテルーチェ)の創業者です。父のリカルド・サルファッティはLuceplan(ルーチェプラン)の設立に加わっており、後にアレッサンドロもルーチェプランに入ります。その後同社のCEOとなり13年に去るまで、多くの製品開発に関わりました。こうしたバックボーンを持つ彼にとって、アステップの立ち上げはさまざまな使命と意味を持つものなのです。

▲新製品の「Candela」

新製品の「Candela」は、ゼーベック効果(*)を利用した画期的なプロダクト。充電機能(USBコネクタ可)、調光、そして実際の炎が灯るオイルランプへの切り替え機能が搭載されています。

▲Candelaの構造を説明する、デザイナーのフランシスコ・ゴメス・パズ。

フランシス・ゴメス・パズによるデザインには、照明器具の構造を深く理解しているがゆえの説得力があります。「機能なしでは、デザインは考えられない」とアレッサンドロ。彼には、照明の機能と構造を理解するデザイナー、それを具現化できる技術者とともに築いてきた信頼関係があります。

▲「VV Cinquanta Collection」より、ウォールブラケットタイプ。他に、シーリングライト、フロアライトのバリエーションがある。

さらに、今回注目すべき製品が「VV Cinquanta Collection」。1951年ヴィトリアノ・ヴィガノのデザインによりアルテルーチェから発売された製品の復刻です。現代の生活シーンにおいて必要とされる機能や形状を反映させ、65年以上を経た今も、時代に溶け込むデザインであることを証明しています。アレッサンドロは「新しいテクノロジーを創り続けることができるのは、過去の知識、経験があるからこそ」と語ります。

アステップが掲げるテーマ「Timeless Inventions」。その想いを、アレッサンドロの「革新していくためには、伝統を理解し、自然と環境を常に考慮していく必要がある」というコメントの中に強く感じました。3世代に渡る照明へのスピリットは間違いなく受け継がれています。End




*ゼーベック効果/物体の温度差が電圧に直接変換される現象。熱電効果の一種。Candelaでは、オイルランプが点いているときの炎の熱がLED点灯時のエルネギーとして変換されます。