NEWS | プロダクト
2017.03.17 19:05
「世界を変える『デザイン』の誕生 シリコンバレーと工業デザインの歴史」
バリー・M・カッツ 著/髙増春代 訳
(CCCメディアハウス 2,600円+税)
ポケット関数電卓機「HP-35」からiPhone、Kindle、そして社会起業まで、世の中に変革をもたらした「デザイン」の歴史を、世界的デザインコンサルティング会社IDEOのバリー・M・カッツが綴る。
舞台となるシリコンバレーはさまざまな組織が緊密なネットワークを形成することで発展し、相互に依存することで共存共栄を図ってきた。そのエコシステムといわれる仕組みに大きく貢献してきたにも関わらず見落とされてきた要素が、「デザイン」である。
本書ではシリコンバレーのエコシステムを完成させるためにデザインが担った役割やデザイナーの起源を振り返り、その軌跡をたどっていく。なかでも重要なのは、アップルが産声を上げた1970年代後半以降、デザイナーの立場に劇的な変化が訪れたことだ。製品が一般家庭に普及するとともに、一般消費者がデザインと機能性のどちらをも重視するようになり、デザイナーは外観だけでなく製品そのものをデザインするよう求められることとなった。この変化は、デザイナーという職業を本質的に変えたのだ。
そうしたデザイン革新の変遷をプロダクトごとに写真で振り返りつつ、モノのみならずシステムをもデザインするようになった現在そして未来のデザイナーの役割とビジネスとの重要な関係性に言及している。
現在発売中の『AXIS』186号においても、著者のインタビューをとおしてデザインのビジネスに対するクリエイティブなアプローチについて紐解いているので、合わせて読んでいただきたい。
A5判、356ページ。