さて、チャンギ空港はミニ植物園に限らず、自然を感じさせる存在を施設内に取り込むことに熱心であるように感じる。その印象は、シンガポール航空が発着するA搭乗口に向かう途中にあるウェイティングエリアに設けられた鯉の池を見たときに、いっそう強くなった。
本のページをかたどった解説パネルに、餌やり禁止のサインがあるのは良いとして、水泳や魚釣りも明示的に禁止されていることには思わず笑ってしまったが、小さな橋までかかっている風情は、まるで高級ホテルや和風の結婚式場のロビーのようだ。
そのすぐ隣にある巨大なスクリーンの映像視聴コーナーでは、一人一人に独立したソファが与えられ、しかも、肘掛け部分の前方にステレオスピーカーが内蔵されている。このようにすることで、番組を観ている人には十分な音量とステレオ感を確保しつつも、周囲の迷惑にならないように配慮しているわけだ。
チャンギ空港はゴミ処理についても進んでおり、リサイクルすべきものについては、一目でボトル、缶、紙類とわかるデザインが施された回収スタンドが用意されている。
さらに、上面にソーラーパネルの付いたゴミ箱があちこちに設置されていたので調べてみたところ、ビッグベリー(大喰らい)というメーカー(http://bigbelly.com)の先進的な製品だった。
その名のとおり、このゴミ箱は内部のセンサーによってゴミが一定量に達したことを感知すると圧縮メカニズムが働き、従来比で8倍ものゴミを貯めることができる。そして、満杯になるとセンターに無線で知らせ、回収を促すのである。
屋内設置なので実際の発電量は不明だが、仕様上は、こうした仕組みを動かすための電力がすべてソーラーパワーによってまかなわれることになっている。その結果、ゴミ回収の頻度を最大80%減らすことができ、75%ものコスト削減につながり、街中の場合には回収車が排出するCO2や燃料消費の低減を実現して、持続可能な社会づくりに貢献するというメリットが謳われている。
今回はここまで見て搭乗時刻となり時間切れだったが、ほかにもまだユニークな特徴がありそうなチャンギ空港なので、次の機会には(用事の有無にかかわらず)他のターミナルにも足を運んでみたいと考えるようになった。