「メゾン・エ・オブジェ 2016 9月展」がパリで開催中です。

インテリア・デザイン見本市の「メゾン・エ・オブジェ」が9月2日から6日までパリで開催中です。今回のインスピレーションテーマは、「ハウス・オブ・ゲームズ」。遊び心に溢れたゲーム感覚や、空想、奇抜さといった要素を内包したスタイルの復権を提案します。

インスピレーションブースの空間を手がけたネリー・ロディ社のヴァンサン・グレゴワールは、「新しいダンディなバロックスタイル」と「カラフルで現代的なエネルギーに溢れたデザイン」の2つを新たなトレンドに挙げています。

平穏な暮らしを願う人々の気持ちを象徴するかのようなミニマルスタイルから、力強い生命力とポジティブな意識に溢れた楽しい感覚へ。生活者の深層心理に食い込んだ時代の半歩先を見据えた提案は、来場者の注目を集めています。


▲ ボードゲームや運に任せた余興、バランスゲームなどに備わる美学が遊び心の糧になるといいます。写真下は、サテン、ベルベットといった素材を用い、妖艶な雰囲気を漂わせるインスピレーションブースの様子。

ちょうど1年前からホール編成が商品別からコンセプトやテーマ別に改められ、場内の人の流れが大きく変わったといわれるメゾン・エ・オブジェですが、導線の軸となる新たなポイントや企画プログラムの設定によって、提案力の強化に向けた動きを継続させています。

会期2日目の朝に行われた「スピード・デーティング」もその1つ。内装関連の上質なソリューションを提案するホール8の「プロジェ」に出展するメーカーと世界各国のメディアをつなぐ“お見合い”形式の出会いの場には、多数のメディアが参加。1コマ7分という時間枠でメーカーとの意見交換をはかりました。

メールやネットで簡単に情報の入手ができる今日ですが、顔を付き合わせたやり取りにはそうしたものでは補えない魅力があることを実感した企画は、情報ハブとしてのメゾン・エ・オブジェの魅力を際立たせることになったはず。初回ということで進行にいくつか問題点はあったものの、「次回以降も継続を期待したい」と企画の継続を求める声が多く聞かれたのも印象的でした。


▲ 「スピード・デーティング」の会場風景。ブラジル、イスラエル、台湾などのメディアが参加し、約1時間にわたって出展メーカーと意見交換をはかりました。7分が経過するとベルが鳴り、参加メーカーの担当者が次の席に移動するというルール。

ホール5では、再びチームラボが招聘作家として新作インスタレーションを披露。「Forest of Resonating Lamps – One Stroke」と題した新作は、ベネチアンガラス製の無数のランプシェードを使い、人の動きに呼応した光の点灯によって、観る人をスペクタクルな世界へと誘います。

会場内のランプは一見バラバラに吊るされているように見えますが、実は綿密な設計によってすべてを配置。1つのランプの輝きが、すぐ近くの別のランプへと伝播し、連続して1本の光の線のようにつながっていくというテクノロジーを介したインタラクティブな仕掛けはパリでもすっかり定着した観があるといえるでしょう。

▲ 妖艶な赤い光と幻想的な青い光が交互に訪れる、チームラボによる「Forest of Resonating Lamps – One Stroke」の展示。

デザイナー・オブ・ザ・イヤーに輝いたイルゼ・クロフォードのインスタレーションは、ホール8に設けられた「デザイナーズ・スタジオ」の空間デザインで見ることができます。五感を意識した上質で心地いい刺激を追求するユニークなデザインアプローチを得意とするクロフォードは今回の仕事について、「天然素材の手触りや質感を重視した」と語っています。温かみのある感触が魅力の空間は、彼女がデザインに向かう態度と同様清々しく、訪れた人たちを心地よく迎えます。

インテリアシーンのトレンドが満載のメゾン・エ・オブジェの会期は9月6日(火)までになります。お見逃しなく!

▲ 9月展のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに輝いたイルゼ・クロフォード。「スピード・デーティング」なども行われたホール8の「デザイナーズ・スタジオ」の空間デザインを手がけています。

メゾン・エ・オブジェ 2016 9月展
会期:2016年9月2日(金)~ 6日(火)
会場:パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
http://www.maison-objet.com