株式会社アカツキ(東京都目黒区)は、スマートフォンサービスの企画開発とソーシャルアプリの企画開発を行うエンタテインメント企業である。設立は2010年。「ゲームの力で世界に幸せを」というミッションを掲げ、「感情を報酬に発展する社会」という社会ビジョンの実現を目指している。主軸となるゲーム事業では、他社との共同開発に加え、自社開発の「シンデレラナイン」や「シンデレライレブン」「サウザンドメモリーズ」などで知られている。16年春、同社は新規事業開発のためのチームを立ち上げた。その一環として、現在、進めているのがクリエイティブチームの結成と全社横断的なクリエイティブの強化。そして、クリエイティブチームのウェブサイトをはじめとするデザイニングではAXISフォントを採用している。同社のクリエイティブディレクターを務める村上一帆さんとカサハラトモアツさん、また、今回のウエブサイトの再構築に際し、技術面で協力するワヴデザイン(東京都渋谷区)のテクニカルディレクター・米田 秀さんに話を聞いた。
アカツキ クリエイティブディレクター 村上一帆さん
ゲームとは「人の心を動かす仕組み」
まず、アカツキという会社が目指していることを教えていただけますか。
村上一帆さん アカツキでは、ゲーム事業を主軸にしながら、新たなワクワクする体験の可能性のある新規領域へのサービスなどを準備しています。感情に満ち溢れ、皆が自分の心の満足を目的に動いている未来を想像しながら、ものづくりをしています。
アカツキ 新規事業開発 クリエイティブディレクター カサハラトモアツさん
カサハラトモアツさん 私たちはゲームを「人の心を動かす仕組み」と定義しています。ゲームには人間の自発性を引き出し、変化させる力があると信じています。映画などと同様にあらゆる感情が生まれ、さらにはそこに没入することで、さまざまな心動く体験が生み出され、そこから生まれるつながりとともにワクワクする体験をかたちづくれると信じています。
そうすると、エンタテインメントとしてのゲームはもちろん、その先の可能性まで視野に入れているということでしょうか。
村上 そうですね。これまでの社会は、可視化できるような報酬に基いて動いてきました。最もわかりやすいのが「お金」。もちろん、今後も貨幣経済が重要であることには変わりありませんが、お金のように目に見える報酬だけでなく、人と人とのつながりや、そこから生まれる心の動きといった「感情」を、ある種の報酬として扱うことのできる社会になりつつあるのも事実です。
「サウザンドメモリーズ」より。
各種SNSの「いいね!」ボタンなどは、そうした状況を象徴しています。
カサハラ ええ。ですから、「人の心を動かす仕組み」であるゲームを良い方向かつ広義的に活用すれば、ゲームの力で世界を幸せにできると考えています。
貨幣とは異なり、感情は無尽蔵ですしね。
村上 はい。幸せの総量も上限がなく、無限に増やせる(笑)。新規事業開発チームの役割は、これまでゲームの世界で流通してきた「ワクワク感」の可能性を拡張し、より多くの人にそのワクワク感を広げていくことです。リアルの世界との結びつきをもっと強めるとともに、ユーザーの成長やライフステージに応じたサービスを提供していきたいと考えています。
カサハラ ゲーム開発を通して蓄積してきた知見とデザイン技術は、さまざまな領域で応用できるはずです。ゲーム以外の分野も活性化するためには、どういうかたちで「ワクワク感」を取り入れればベストなのか。今、そういったことを社内で検証しています。
村上 新規事業開発のプロジェクトと平行して取り組んでいるのが全社横断的なクリエイティブの強化です。私とカサハラが中心になり、クリエイター向けの新しいウェブサイトやコーポレートツールを制作しています。先進的な表現も盛り込むなかで、テクニカルディレクターとして、ワヴデザインの米田さんにも参加してもらいました。
ワヴデザイン テクニカルディレクター 米田 秀さん
グローバルかつベーシックな書体を
ウェブサイトではAXISフォントを使っていただきました。数あるフォントの中から、どうしてAXISフォントを選んだのか。その理由をお聞かせください。
村上 私たちが大切にしているのは、個人個人がその人らしさを発揮できる環境づくりです。それは社内においてもそうですし、社会もそうあってほしい。そうした価値観を反映し、アカツキのシンボルマークは10個の色が円状に並ぶデザインになっています。多様でありながらも、個々がしっかり結びついているイメージです。
カサハラ ただ、こうしたカラフルなイメージを外部に発信しようとすると、どうしてもビジュアル要素のインパクトが強くなってしまいます。
村上 そうした状況を踏まえ、書体を選ぶときは、3点ほど意識していました。まず、ビジュアル要素を受け止めることのできる強さをもっていること。といって、文字要素が主張しすぎてもダメですから、視認性が高く、読みやすいこと。それから、シンプルなだけでなく、書体そのものが空気感を漂わせていること。こういった条件を満たす書体は、案外、見つからないんです。
米田 秀さん AXISフォントは、一見するとフラットな印象だけれども、どこかスタイリッシュさがあり、上品さみたいなものがありますよね。ウェブデザインの世界では、ここ1年ほど、細身の書体が人気ですが、和文書体の場合、ストレスなく使えるのは、AXISフォントくらいじゃないかな。
カサハラ たしかに欧文書体だといろいろ選べるけれども、上質さを打ち出そうとすると、和文書体は使えるものが限られてきますからね。
村上 先ほど挙げた3点は主にデザイン面からの理由ですが、外部に向けての情報発信という点で言うと、和文と英文の一体感があるというのも、AXISフォントの優れたところですね。というのも、私たちは東京オフィスのほかに、現在、海外展開を担う子会社が台湾にオフィスを構えていて、さらにこの先、グローバルにサービスを拡大していきたいという想いがあるからです。AXISフォントのほかにも、いろいろ検討はしましたが、グローバルレベルで書体を統一したいと考えたとき、結果としてAXISフォントになりました。
例えば、インタラクション性のあるフォント
ちなみに、AXISフォントに限らず、「将来、こんなフォントが登場したら面白いんじゃないか」というアイデアはありますか。
村上 インタラクション性があると面白いでしょうね。ウェブやゲームの特性はリアルタイム性ですから、時間の変化に応じて、刻々と変化していくフォントが出てくると楽しい(笑)。
カサハラ ちなみに、クリエイター向けの新しいウェブサイトとあわせて、新しくデザインしたのが、アカツキの多様性をカラフルに表現した書体です。文字のかたちにカットグラスのような多面性をもたせました。
村上 今でもアニメーションや3Dで文字を変化させることは可能ですが、フォント自体にそういうパラメータが埋め込まれると、表現の幅はもっと広がっていくと思います。
ありがとうございました。
村上 アカツキでは、一緒に新しい世代のクリエイティブを生み出せる、熱い仲間を絶賛募集しています。是非一度オフィスに遊びに来ていただければと思っています。ありがとうございました。
ツクルバデザインが設計したオフィスは、ものを創造するための環境づくりもユニーク。共有スペースがゆったりととられている。
こちらも共有スペース。ライブラリーも設置され、その奥にはゆったりくつろげる畳を使ったスペースも。
社員全員の「下駄箱」が設置されている。靴を脱ぎ、自分の好きな室内履きに履き替える。何も履かないのが好きだという人も多い。
トップフロアは中目黒、代官山を見下ろすスペースにミーティングルームが並ぶ。これだけあっても打ち合わせ場所が足りなくなるときがあるという。
株式会社アカツキ/2010年設立。人々の自発的な力が社会を幸せにするという信念とともに、それをゲームの力で実現することを使命としている。ゲーム事業を中心にしつつ、今後はゲームの力を生かしたさまざまなサービスを展開予定。メンバーひとりひとりの“ワクワク”、“成長”、“つながり”を大切にし、サービス、プロダクト、そして自身のあり方を通して世界の幸せを増やしていく。 http://aktsk.jp
採用情報ページ http://aktsk.jp/recruit/
AXISフォントは和文フォントとしてはじめて、EL(エキストラライト)、UL(ウルトラライト)、というウェイト(文字の細さ)を展開しました。ウエィトの充実化とともに、視認性が高くクセがない、明快でスマートな表現を可能にします。
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