面出薫氏が語る、展覧会への想い
ーー「Nightscape 2050」展にむけて

5月14日(土)から6月10日(金)まで東京・月島のTEMPORARY CONTEMPORARY で開催される光の展覧会「Nightscape 2050-未来の 街・光・人」展。光の専門技術集団ライティング プランナーズ アソシエーツ(LPA) による展覧会の主要なコンテンツについて5回にわたって紹介していきます。第1回は展覧会の趣旨とメインコンテンツ「Light Pavilion」について、LPA代表の面出 薫さんに伺いました。

この展覧会の趣旨について教えてください。

この展覧会は2050年の人と光と街のあり方を探るためのものです。ここでは私たちはNightscape、つまり夜景を、単なる夜間の都市景観としてではなく、「光と人と街のあるべき姿」として捉えています。

21世紀に入り、LEDなどの新光源の出現とデジタル調光制御技術の進化は、私たちの生活情景を大きく変化させようとしています。それと同時に世界中に多発する自然災害や地球環境の変化、原子力災害などは、電力消費と照明デザインのあり方に真摯な議論を呼んでいます。際限なく進化する光学技術は、利便性とともに光や影と自由に交わる楽しさを私たちに与えてくれます。しかしその陰で、サーカディアンリズムに変調をきたし、光害を生む光環境も少なくありません。未来を語るとき、人々と光との関わりには楽観論と悲観論の双方が混じり合っているのです。

照明デザインは「光と人々との素晴らしい出合い」をどのように創造できるのでしょうか。2050年にどのような光環境を期待すべきなのでしょうか。これが私たちLPAから皆さんに対する問いかけなのです。日進月歩の照明技術と私たちの強い意志、その「技術と意志」の両方が輝かしい未来の夜景を創り出します。この展覧会が、「人と光と街との輝かしい未来」について語り合うためのプラットフォームになれば幸いです。

いちばんの目玉は「Light Pavilion」とのことですが、どのような展示でしょうか。

ライトパビリオンは映像展示による光の体感空間です。パビリオン内は暗い部屋になっており、自然光による「光と影」や現在から未来に向かって変わっていく光のイメージなどを体感できるスペースです。自然光に学ぶ、世界の夜景に学ぶ、2050年夜景のための20の提案という3部構成になっています。

第1章「自然光に学ぶ」は私たちの照明デザインの基本理念です。LPAのデザインの所作はすべて、太陽と火という2つの自然光が創り出す巧みな光と影の技に近づくためのものです。もちろん蛍や星空や太陽の化身としての月明かりも、同様に大切な自然光の1つです。

第2章「世界の夜景に学ぶ」では、私たちが過去25年間に調査収集した夥しい数の世界の都市夜景の画像を駆使し、それぞれの都市に息づく固有の生活文化を表現しています。文化としての夜景はローカルにあります。たくさんのローカルな夜景文化を比較するなかで、光の功罪も見えてきます。

第3章は「2050年夜景のための20の提案」です。2050年に期待する情景を、都市、道、公園、住まい、人という5つのテーマに分けて提案しています。技術の予測論ではなく、デザイナーとしての期待論を語っています。この体感空間で皆さんが、それぞれの想いを膨らませていただければと思います。

次回はベルリン、シンガポール、香港、東京で行われた「子どもワークショップ」についてご紹介します。

「Nightscape 2050 – 未来の街・光・人」展

日時 2016年5月14日(土)〜6月10日(金) 平日 13:00〜21:00 / 土日 10:00〜18:00

場所 TEMPORARY CONTEMPORARY 東京都中央区月島1-14-7(旭倉庫2階)

主催 ライティング プランナーズ アソシエーツ(LPA)

問合せ先 ライティング プランナーズ アソシエーツ 担当:東 悟子 higashi@lighting.co.jp  TEL. 03-5469-1022
Facebook Page: Travelling Exhibition by LPA
https://www.facebook.com/lpa.exhibition/
#nightscape2050tokyo #nightscape2050