vol.66
「スプレープリンタ」

街中の壁や鉄道の車両などにスプレーでイラストやメッセージを描くストリートアートは、許可された場所以外では違法行為だ。しかし、特定の場所に描かれるからこそ意味を持つ作品もあり、バンクシーのグラフィティのように大英博物館に収蔵されたり、オークションで高値がつく例も出ている。

だが、合法的な場所に描くにしても、一般的なキャンバスとは異なるスケール感もあり、一般人にとって落書き以上のものを描くことは、なかなか大変だった。

もうすぐクラウドファンディングサイトのINDIEGOGOで公開予定の「スプレープリンタ」(http://sprayprinter.com)は、好きな色のスプレーペイント缶に取り付けて、スマートフォンなどからデータを転送すれば、誰でも壁にペンキを吹きつける要領で点描的なイラストを「プリント」できるアタッチメントだ。

詳しいメカニズムは明らかにされていないが、画像をテレビの走査線のように分解したうえで、1ラインごとの濃淡をスプレーの噴霧時間に置き換え、おそらくアタッチメント内の加速度センサーなどの情報から複数のラインの並びが乱れないように制御しつつ、イメージを定着させていくのだろう。

現時点では、コンピュータと有線でつながった状態で出力する、いかにも手づくりのプロトタイプによる描画の様子が動画(https://youtu.be/CkKgRVXRobc)で公開されている。また、色の異なるスプレーで重ね塗りをしていくことで、写真的な表現も可能になるようだ。

こうしたツールがあれば、絵心がなくても、部屋の模様替えからちょっとした壁画の制作などまでを、より楽しく簡単に行えるようになるだろう。製品版の完成が待ち遠しい製品である。