現在発売中のAXIS178号に掲載のシャープ ブランディングデザイン本部によるオリジナルシリーズ広告のコンセプトについて、製作担当の方々に語っていただきます。
※第3回広告の大きな画像はこちらからご覧ください。
第3回「デザイナーの手」
デザイナーとして働きはじめた三十数年前、小池岩太郎氏からお話を伺う機会がありました。1時間程であったその内容のほとんどを、実は思い出せないのですが。今でも覚えているのは、氏がデザイナーとしての気持ちを語られた「あなたたちが何かをデザインするとき、それをあなたの大切な人が使うと思ってご覧なさい。そうすることで見えてくることがあるんです」という言葉です。
そして最近、山中俊治氏とお話しをした際、「デザインということに、カンフル剤のような即効性を期待してしまう向きもあるけれど。良いと信じることに向かって地道に努力していくこと。それに共感を持つ人々を増やしていくこと。デザイナーの役割の一つ大切なことが、そこにあると思います」と語られたのを聞いて、 物事が少しでも正しい方向に進むために、デザインが果たせる役割は何かを改めて考えさせられました。
誰のために、何のために……。
若いデザイナーたちは今、その答えを見つけようと真摯な姿勢で創造に取り組んでいます。彼らの見つめる大切なこと、それがいつか大切な人とつながるために。(文/シャープ ブランディングデザイン本部 デザイン開発センター所長 宮田正志)
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