「やっぱり体がムズムズする」。若い人たちが中心のペダルカーワーキングを見ていて、あまりに楽しそうに作業を進めている姿にちょっとだけ参加したくなったおじさん。キックオフから遅れること約1年、我慢しきれなくなってボディのシェルだけでもつくってみたいと活動を開始。おじさんパワーのすごさをみせつけることをテーマにホットロッドの製作を決意した。レギュレーションに合わせてフォルムをデフォルメ、エイリアス一発でチャチャチャと……。
1週間後にはクレーの切削が始まった。シャシはどこかのチームのものを拝借する計画でベースの共通シャシに合うようにつくったのに……。なんとどのチームもシャシをモディファイしていて合うものはなし。新規につくる必要が出て、めでたく1台のクルマとして仕上げることとなった。
コミュニケーションの強化が1つの大きな目的であるはずのペダルカーワーキングであるけれど、ベテランぞろいのおじさんチームは経験豊富のため、人の意見には耳も貸さずに好きにつくっていった。木型職人のEさん、「せっかくつくるのだから最高の品質を」とまずはウッドのステアリングをつくり上げると、あまりのできにメンバーの職人魂に火がついて……。ボディのハイライトを整え、ディテールをつくり込み……。自分の仕事は完璧に、だけど他人の仕事には手を出さない。
それぞれのメンバーのあまりに勝手な行動に、いったいどうなることやらと思ったことは数知れず。それでもクルマは完成したのでした。(文/いすゞ自動車 デザインセンター 丸山公顧)
連載コラム「いすゞペダルカー・チャンピオンシップ」は今回が最終回です。前回までの記事はこちら。
また「いすゞペダルカー・チャンピオンシップ」をはじめ、いすゞデザインセンターが、個々のメンバーのスキルアップやコミュニケーション向上を目的に社内で行ってきたプロジェクト「ワーキンググループ」の成果を発表する「いすゞデザイン こころみ展」が5月22日(金)〜24日(日) までアクシスビル地下1階のシンポジアで開催されます。詳細は後日お伝えします。