第5回
「Cチーム DEVIL FISH」

こんにちは。 いすゞ自動車 デザインセンターの黒田幸宏です。普段の業務ではデジタルモデリングを担当しています。ペダルカープロジェクトではCチームのリーダーを務めました。

人が乗っていても、乗っていなくても……
われわれCチームでは、開始当初からスケッチやアイデアをもとにディスカッションを重ね、コンセプトキーワード「骨格美」「人機一体」 を導き出しました。
それらをもとに 「人が乗っていても、乗っていなくてもカッコイイ車にしよう」 という目標を掲げ、最終的に3案のスケッチでコンペを行いました。

コンセプトは「人機一体」
コンペの結果選ばれたテーマは「DEVIL FISH」。モチーフをマンタレイとし、アッパーカウルでその流麗なフォルムを表現。マシンに人が乗ることにより完成する「人機一体」がコンセプトです。外装と内装が表裏一体で連続感を醸し出すシームレスな構造。ドライバーを包み込む有機的でスポーティーな雰囲気を表現したこのキースケッチは、「人が乗っていても、乗っていなくてもカッコイイ」という目標に最も沿っていました。

こだわり抜いたデザイン
スケッチの流麗さを追求するために極限まで車高を低く抑え、12インチの小径フロントホイールと、26インチの大径リアホイールという組み合わせによって
大胆なスタンスを表現しています。ボディカラーはハイコントラストなコンビネーションにすることでアグレッシブさを演出し、流麗なボディを際立たせるためにクリアの平滑性にもこだわりました。

見せることにこだわったインテリアは、ドライバーを包み込む人機一体のテーマを引き継いでいます。ディティールは、色数を極力抑え、質感にメリハリをつけることで、シンプルでありながらスポーティーな雰囲気を演出しています。パーツ数が多いこともあり、製作にはかなりの労力を費やしましたが、細部にまでこだわり抜いたマシンは、見事 「コンクール・ド・エレガンス賞」 を受賞しました。

精悍なアピアランス
フロントホイールをヒドゥンタイプのカバー付きとし、回転する様子を隠すことで路面を滑走するようなスムースな走りを演出しました。路面に吸い付くような低重心のパッケージは、安定感のある加速と鋭いコーナーワークを見せます。ペダルカーでありながら人力には見えない、精悍な印象に仕上がりました。

おまけ
これは矢島デザイナー作の 「ミニカー DEVIL FISH」。実車の雰囲気を残しながらも巧みにデフォルメされた、隠れた秀作となっています。このプロジェクトにかけた意気込みとマシンに対する愛情がおわかりいただけるのではないでしょうか。(文/いすゞ自動車 デザインセンター 黒田幸宏)

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