第3回
「Aチーム Elegant & Madness」

みなさん、こんにちは。Aチームのリーダーを務めた、いすゞ自動車 デザインセンターの長谷川芳美です。業務では、主にインテリアデザインを担当しています。前回までは活動全体とレースについて紹介させて頂きましたが、今回からは各チームのリーダーによる全6台の車両説明です。どのチームも気合の入った個性的なデザインに仕上がっています。

ストーリーからの発想
Aチームの特徴は、あるストーリーから発想した車両デザインです。まずペダルカーが走るストーリーを設定し、主人公が駆る車両をイメージ。その世界観を大事にしつつデザインしていきました。その世界観は……、遠い昔、陰謀によりペダルカーレースでの敗北を余儀なくされ、地位や名誉、すべての財産を奪われ、国を追われたある貴族がいました。時は経ち2014年の現代。運命の悪戯か、因縁めいたペダルカーレースが偶然にも開催されrることとなりました。かつて国を追われた貴族の末裔が、このレースで復讐を果たすべく、チーム「Ale Diablo」を結成。気高く流麗なボディーをまといながら、狂気を秘めた「Elegant」と「Madness」をテーマとした究極のペダルカーを開発し、復権を賭けレースに挑む……というものです。

ドライバーとボディの一体感
世界観を表現するべく、スタイリングテーマは「Elegant」と「Madness」。この2つの相反する要素を、伸びやかなキャラクターラインと刃のようなシャープなディティールで表現。今にも獲物に食らいつく獰猛なサメを彷彿とさせるフォルムが特徴です。

ボディは高貴なグリーン、内装は赤で復讐心を表現し、カラーにおいても二面性を表現しています。インテリアは、ドライバーをしっかりとサポートしつつもリッチで重厚感のある仕上げに。プロポーションは、車両単体ではフロントヘビー気味に見えますが、人が乗車したときにいかに美しくボディと調和して見えるかを追求しました。


シャシへのこだわり
シャシデザインはレースの勝利を目指し、スタイリングと漕ぎ易さの両立を狙った設計。視界の良さ、軽量化、高い旋回性能を追求して作製しました。ボディサイドのスリットから、ちらりと覗く赤色のシャシも特徴です。


レースカーに求められるバランスの良さを追求し、レースでは、見事に「トップオブスピード」を獲得。かくして遥かなる時を越えた復讐劇はレースの勝利という最高の瞬間を飾り、幕を下ろしました。おしまい。(文/いすゞ自動車 デザインセンター 長谷川芳美)

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