NEWS | カルチャー
2015.02.25 18:25
『ポール・ランドのデザイン思想』
ポール・ランド 著/河村めぐみ 訳(スペースシャワーネットワーク 1,728円)
20 世紀を代表するグラフィックデザイナー、ポール・ランド(1914-1996)。ほぼ独学でデザインを学んだランドが、本書の初版『Thoughts on Design』を記したのは1947年、33歳のとき。当時はまだIBMやABCテレビのロゴマークは手がけておらず、ニューヨーク・アート・ディレクターズ・クラブの殿堂入りを果たし、イェール大学で教鞭をとるのも後年のことだ。
そんな若いランドが記したのは、デザインに対する自らのマニュフェスト。それも簡潔な、平易な言葉で綴っている。
例えば、「グラフィックデザインとは」と問いかけ、「目的に適っていなければ、優れたデザインとは言えない」「見る者にメッセージを伝えられなければ、優れたデザインとは言えない」と原則を語る。
「美しく、目的に適うこと」「デザイナーの命題」「シンボルの万能性」「ユーモアの役割」「創造力(イマジネーション)と表現(イメージ)」といったテーマを掲げ、文章と自らの作品で解き明かしていく。
本書は、1947年の初版に、ランド自らが文章の修正や図版の差し替えを行った1970年の改訂版を復刻させ、邦訳を付けたもの。コンパクトな体裁ながら、見応えのある一冊だ。
A5変型、並製、96ページ。