NEWS | 見本市・展示会
2015.02.23 11:39
今年2回目となる「シンガポール・デザインウィーク」が、3月10日から22日まで開かれる。2月12日に行われた記者会見では、デザインシンガポール・カウンシルのロバート M.トムリン委員長が、春休み中の学生が参加できるように期間を前年より6日間延長すると発表した。60を超える公式イベントの中から、主だったものを紹介する。
文/大島さや
● エキシビション
Fifty years of Singapore Design
会期 3月10日〜2017年12月31日
会場 ナショナル・デザイン・センター(NDC)デザインギャラリー2
建国50周年を記念し、これまでのシンガポールデザインの歩みを振り返るというもの。ビジュアルコミュニケーション、プロダクト&工業デザイン、ファッション&アクセサリー、環境デザインの4つのカテゴリーに分けて200点以上が展示される。古き良きコーヒーショップで今なお愛され続けるプラスチック製の椅子がどのようにデザインされたのかなど、独自の歴史を考察するものになりそうだ。
New British Inventors: Inside Heatherwick Studio
会期 3月11日〜4月12日
会場 NDCアトリウム
英国のトマス・ヘザウィック率いるヘザウィック・スタジオが生み出した近年のプロジェクト110点で構成される。ロンドンのテムズ川に予定される「ガーデンブリッジ」の大型模型、2012年ロンドン五輪における通称「大釜(caldron)」と呼ばれる聖火台の銅製パーツ、シンガポールで建設が進むナンヤン工科大学「ラーニング・ハブ」の原寸大のファサードや模型などが展示される。今後アジアを巡回する展覧会であり、シンガポールで初公開となる。
▲ ロンドンのヘザウィック・スタジオ ©Heatherwick Studio
Chris Lefteri + SP Design School: New Material Experiences
会期 3月10日〜22日
会場 NDCマテリアル・デザイン・ラボ
『「もの」はどのようにつくられているのか? プロダクトデザインのプロセス事典』(オライリージャパン刊)の著者であり、ロンドンを拠点に活動するクリス・レフテリ。シンガポール・ポリテクニック・デザイン・スクールとのワークショップの成果として、伝導性塗料の可能性について発表する。
President’s Design Award 2014 Exhibition
会期 1月20日〜3月29日
会場 NDCデザインギャラリー1
シンガポールデザイナーのためのデザイン賞「プレジデント・デザイン・アワード」の受賞作品展。対象は、建築、ランドスケープ、ファッション、コミュニケーション、工業デザインなど多岐にわたる。
Singaplural
会期 3月10日〜15日
会場 ビーチロード99
主催はシンガポール家具産業カウンシルで、今年4度目の開催となる。広告、建築、都市計画、景観設計、インテリア、グラフィック、ファッションの分野のデザイナーたちが、2001年まで中央警察署だったコロニアル様式の建物で作品を展示。「プロセス」をテーマにしたインスタレーションやシンポジウムも実施する。また、シンガポールエキスポのホール4では、「アジアン・スター・ショーケース」やタイ人デザイナーのアノン・パイロット(Anon Pairot)のキュレーションによる「未来のコード」展も開催(3月13日〜16日)。
From the Archtect’s Hands
会期 3月10日〜15日
会場 ビーチロード99
2014年度の建築デザイン賞の受賞作品と、スケッチやCGなどのプレゼンテーション資料を巨大スクリーンに投影。主催はシンガポール・インスティテュート・オブ・アーキテクチャー。
ManyWaysOfSeeing Exhibition, “A Singaporean Tree of Life”
会期 3月13日〜31日
会場 セントーサ・ネイチャー・ディスカバリー
ベルリン在住の建築家でありデザイナーでもある阿部雅世による、子供たちの想像力を育てるためのデザインワークショップの成果発表展。会場となるセントーサ・ネイチャー・ディスカバリーについて、阿部は「世界有数の自然の宝庫のような島の、古いモノレール駅を改装した魅力的な場所」と言う。NDCのレクチャーには3月12日に登壇予定だ。
●トレードショー
シンガポール国際家具見本市(IFFS)
会期 3月13〜16日
会場 シンガポールエキスポ、ホール1〜6
第32回 ASEAN家具見本市、装飾ショー、ホスピタリティ360°といった見本市を併催して開かれる。
MAISON&OBJET ASIA
会期 3月10日〜13日
会場 マリーナベイサンズ・エキスポ&コンベンションセンター
1月のパリに続いて開催されるライフスタイル関連の見本市。上海のネリー&フーにスポットを当てるほか、6カ国の若手アジアンデザイナーの特別展も開かれる。
そのほか、日本デザイン振興会が協力する「Singapore Good Design Mark (SG Mark) Exhibition」や各デザイン大学の卒業制作をはじめとした作品展、「Singapore Design Business Summit」といったシンポジウムも目白押しだ。また、飲食店向けのワークショップ「Design Thinking」、中国・インドネシアに事業展開を考える企業向けの現地のライフスタイルに密着したドキュメンタリーフィルム「Design Ethography」の上映など、ビジネス向けの企画も少なくない。
60を超える公式イベントやデザインショップなどが独自開催するサテライト展示といった各所へのアクセスは、ナショナル・デザイン・センターを起点にした無料のシャトルバス「デザイントレイル」が便利かもしれない。建国50周年の活気に溢れ、国民から“地図上の小さな赤い点”と親しまれるエリアごとに異なるシンガポールのユニークさも、デザインウィークと合わせて体感してほしい。
▲「Design Ethography」のメイキングより
●本シリーズは「シンガポールデザインレポート」からご覧いただけます。