INTERVIEW | アート
2014.11.30 18:46
第12回は、アクシスビル2階に写真ギャラリーを構えるタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム。ギャラリストとして20年間活躍してこられた代表の石井孝之さんにインタビューしました。
ギャラリーのコンセプトを教えていただけますか。
これまでの写真の歴史のうえで、新しい視点で作品を紹介したいと思い、このギャラリーをオープンしました。現代だけではなく、歴史上重要な写真作品を幅広く紹介しています。所属作家による展覧会を随時開催するほか、ヴィンテージ・プリントやスペシャル・エディションに加え、歴史的に貴重な書籍も販売しています。
どのような視点で作品をセレクトしているのでしょうか。
まずは作品を見て自分自身が感じるものがあることです。私と写真との出会いはラリー・クラークの個展でした。セックスやドラッグ、暴力などを描写した作品だったのですが、とてもショッキングでした。自分の脳裏にずっと残っていて、ギャラリーで勝負するならこういう作品を紹介したいと思わせるものでした。作品については、まずは作家とよく話をします。作品の内容がギャラリーコンセプトとマッチするか、また作家本人とフィーリングが合うかどうかがとても大事です。それは結婚相手を選ぶのと同じぐらい大事なことなのです。
今後の展覧会情報を教えていただけますか。
現在行っているのは、レオ・ルビンファインの個展「Vintage prints from “A MAP OF THE EAST”1980 – 87」です。彼は高度経済成長期に日本で過ごした経験があり、東松照明さんや細江英公さんなど、日本の写真家たちととても縁が深い作家です。「A MAP OF THE EAST(東洋の地図)」は彼が日本を中心にアジア各地を取材撮影してまとめたシリーズで、今回はそのなかからカラー写真17点を展示しています。12月6日土曜日までの開催です。
レオ・ルビンファイン『New Turns in Old Roads』(55,000円)と『The Ardbeg』(2,000円)
次回は12月13日から来年1月31日まで、リナ・シェイニウス「Exhibition 03」展を行います。彼女はファッションモデルで、撮られる立場から撮るほうに興味を持ち、フォトグラファーに転身しました。作品はごく普通の日常をスナップしたプライベート・フォトグラフィーです。日本の荒木経惟さんや東松照明さんの影響も受けていると思います。1990年代に日本で流行った長島有里枝さんやHIROMIXさんなどのガーリーフォトと似ていますが、それを日本ではなく海外で行っているところがとても面白いと思います。ぜひ、ご期待ください。
リナ・シェイニウス「Untitled (Diary)」(2002年)©CHRISTOPHE GUYE GALERIE, Zurich
今後、新しいビジネスの展開はありますか。
今年6月にパリにギャラリーをオープンしましたが、ニューヨークのアッパーイーストにもう1店舗、近々オープンする予定です。
お客様にメッセージをお願いします。
写真ギャラリーは敷居が高いと思われていますが、美術館と違って無料で作品をご覧いただける場所なので、気軽にお越しいただき、多くの作品を見て吸収していただければと思います。タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、海外の展覧会の作品を時差なく見られるので、一早く情報が得られます。私たちは作家の代弁をすることが仕事です。ギャラリースタッフと気軽に話していただいて作品を知っていただきたいと思っています。(了)
今年2月から3月にかけて行われた二川幸夫「フランク・ロイド・ライト」展は、二川幸夫さんのオリジナルプリントの個展としては初めてこのタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムで行われ、多数の方々が来館し話題を呼びました。今後も幅広く新しい視点で、作品紹介をしていくこちらのギャラリーにぜひお越しください。
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
営業時間 11:00~19:00
定休日 日曜・月曜・祭日
連絡先 Tel. 03-5575-5004
ホームページ http://www.takaishiigallery.com/jp/
この連載では、東京・六本木のアクシスビルのショップの皆さんにお店のコンセプトについて語っていただきます。前回までの記事はこちら。