今年も、恒例の秋のデザインイベントがさまざまな場所で行われました。デザインイベントも、最近は生活の一部になりつつあるように思います。照明のプロダクトもいろいろなストーリーを持ったものがありました。
注目の1つ、代官山デザインデパートメント(D.D.D)で発表されていた、シンガポールのプロダクトブランド 「industry+ ” (インダストリープラス) 」 の照明をレポートします。
このブランドは、若く元気な20〜30代のアジア出身のデザイナーたちによるアイテムから構成されています。彼らは日本、韓国、台湾、フィリピン、シンガポールの自国のアイディンティティを大切にしながら、新しい可能性をデザインの中に探求し、製品化まで関わっています。今回、D.D.Dで発表された照明は、日本のプロダクトデザイナー、福定良佑さん による「Gabbia Lamp」。
この照明のランプシェードの素材は竹。タイの竹細工職人によって1つ1つ手づくりされているもの。単調になりがちで、「和」のイメージが強い竹をカラーPVCと組み合わせることで、“明るさ感”を生み出し、和のモダンな空間から、洋の雰囲気の空間にもしっくりと馴染むようになっています。光源はLEDで、少し温かみのある色温度をセレクト。竹細工のように人の手技による繊細なディティールを伝えるには、照明という分野はとても効果的だということを感じさせられました。industry+とこのGabbia Lamp は、すでに今年の9月のパリでのメゾン・エ・オブジェやロンドンでのデザインジャンクションにおいて海外メディアから注目を集め、順調な滑り出しを見せています。
真摯にモノづくりに励むアジアの手工業の職人たちと、確実にその技術の可能性を引き出すデザイナーたちとのコミュニケーションから生み出されるプロダクトは、これからも世界に向かって発信されていきます。照明もこれからどんどん製品化されていく予定。加速度的に面白くなっていく「アジアのデザイン」にこれからも注目していきたいと思います。(文/谷田宏江、ライティングエディター)