REPORT | 見本市・展示会
2014.10.07 13:36
いよいよ10月15日(水)から、大阪国際会議場(グランキューブ大阪、大阪市北区)で住空間・インテリア関連産業見本市「LIVING & DESIGN」がスタートします。6回目を迎える今年は「INNOVATIVE RENOVATION」というテーマのもと、リノベーションから広がる新たな魅力や可能性につながる提案・展示が多数紹介されます。「どう暮らすか」という発想を起点に、自分らしい住まい方を求めるニーズが広がるなか、衣や食と同様に多彩な選択肢を用意することで、住まいや暮らしに対する創造性はいっそう膨らんでいくことでしょう。
3回にわたり出展企業の見所を紹介するシリーズの第1回は、3年振り2度目の出展となるI&Cです。家具や木製建具に加え、空間デザインや内装建材などの企画・開発を主力とする同社が今回展示の目玉に据えるのは、リモコンやボタン設定で高さを自由に調整できる電動昇降機能を備えた洗面台「LAP」シリーズの最新モデル。同社の佐田幸夫社長は「可動式の洗面台がもたらす新たな価値をぜひ会場で体感してほしい」と話します。
人に寄り添う洗面台
一昨年、昨年と、出展の誘いを受けましたが、参加を見送りました。新製品の発表に合わせたタイミングでLIVING & DESIGNに出展したいと決めていたからです。今年はようやくその巡り合わせとタイミングが重なりました。
展示するのは1年半近くかけて開発し、6月から受注を始めた「LAP」という高さを電動で調整できる洗面台シリーズです。介護施設向けに耐久性やメンテナンス性を重視し、低価格を実現したものと、デザイン性と素材感を高めた住宅向けの2モデルがあり、さらに今回、人が近づくと身長や体勢を感知して高さを自動的に調整する人感センサー搭載の試作モデルを初めて披露します。
▲ 「人に寄り添う洗面台」をコンセプトに開発された「LAP」シリーズ。写真の「LAP-100」はデザイン性と素材感を高めた住宅向けモデルです。壁面収納やLED照明搭載ミラーなどオプション類も充実し、環境に応じて多彩な組み合わせが楽しめます。
洗面台や収納棚は“固定する”ことが当たり前。設備の機能や設置環境に人が合わせて使うことがなかば常識となっています。しかし、洗面台1つ取っても、本来使う人の体型や体の状態はさまざま。車椅子の人もいれば腰痛で腰が曲がらない人もいるし、身長がものすごく高い人もいる。そういう不特定多数の利用者に対して、設備のほうが寄り添い、最良の洗面環境を提供したいというのがLAPのコンセプトです。
上にも下にも、ダイナミックな高さ調整が可能
実は過去にも、車椅子の利用者を想定し、洗面台を下げる機能を持った商品はありました。しかし私たちは下げることへの意識と同時に、上げることへの利点にも着目しました。洗面台が高いと、口をゆすぐときに前屈みにならなくて楽という声が多かったり、水跳ねが少ないなどのメリットがあることが、リサーチやモニタリングを行うなかでわかったからです。上下に高さをダイナミックに調整できる機能は新たな価値になり得ると判断しました。一般住宅向けの洗面台の標準的な高さは750~850mmですが、LAPは650~1,100mmの幅で調整できます。しかも調整は1mm単位から可能です。
▲ 「LAP」シリーズでは、650~1,100mmの幅で洗面台の高さを自由に調整できます。調整は1mm単位から可能。好みの高さを記憶させ、ワンタッチで昇降が行えるプリセットモード機能が標準で搭載されています。LIVING & DESIGNの会場では、人が近づくと身長や体勢を感知して高さを自動で合わせることができる人感センサー搭載モデルが紹介されます。
LAPを見た人はまず、洗面台の天板が動くことに驚くでしょう。ただ、動くことが物珍しいというだけで終わってしまってはいけないと考えています。人がストレスなく利用できる環境を電動昇降という機能によって実現している点に、従来の洗面台にはない価値があります。そこをぜひ感じ取ってもらいたいと思っています。当然、ストレスの要因となる昇降時のスピードや静音性には徹底的にこだわっています。同時に、昇降時に障害物にあたった際には動きが止まるセーフティモーション機能を備えるなど、安全性に対する配慮にも抜かりありません。
壁面収納やLED照明搭載のミラーといったオプション機能の追加、素材や色の組み合わせなど、設置環境に適したカスタマイズができるのも“ 売り”の1つです。他メーカーの洗面器を組み合わせて使うこともできるので、インテリアデザインとしての自由度はひじょうに高いです。人感センサーを使い、機器の側が使いやすい高さを自動セッティングする機能は、洗面台のほか、将来的にはキッチン分野にも拡げていきたいと思っているので、来場者の方々の反応を知るのが楽しみです。
身の回りの家具が生活をアシストする
二世帯、三世帯が一緒に暮らすという風潮が薄れる一方で、独居や高齢夫婦の世帯が増えていくということが言われています。家族の誰かが常に側にいて、介助してくれるという状況がますます望めなくなってきているのが現在の状況です。そのとき、身の回りの家具やインテリア設備が少しでも人の手の替わりとなって、生活をアシストしていけるようになれば、将来に対する生活不安はいくらか和らぐのかもしれません。そういう商材が増えることは、リノベーション産業の活性化にもつながっていくはずです。
▲ 介護施設向けに低価格を実現した「LAP-200」。車椅子利用者や腰が曲がらない高齢者などが安心して生活できる環境づくりという視点に立って、さまざまな工夫が盛り込まれています。
そこで重要になるのは、機能はもちろんですが、デザインです。介護施設向けに開発したモデルでもこの点は強く意識しました。高齢者の方に話を聞くと、彼らは一様に「デザインで選べる商材が少ない」と口にします。機能とデザインを高次元で融合させ、使う人の精神的な豊かさにつながるような提案が増えていくことを一生活者としても期待してます。
LIVING & DESIGNはグランキューブ大阪に場所を移して以降、会場がコンパクトになりました。会場が広いと、駆け足で回らなくてはいけないという思いが災いし、落ち着いて見て回るのが難しくなります。LIVING & DESIGNに4時間もあれば、会場をグルッと2周し、気に入ったブースで説明員の方とじっくり話すことができます。来場者の立場からすれば、そこは魅力の1つでしょう。LAPに少しでも興味を持ってもらえたら、ぜひ私を含めスタッフに気軽に声をかけてください。来場をお待ちしています。(聞き手/編集部・上條昌宏)
▲ 人感センサーを搭載した自動昇降機能付き洗面台「LAP」シリーズは、健康・医療・介護・環境・エネルギーといった成長産業分野において新規性の高い製品開発案件として、「大阪トップランナー育成事業」(2013年度)の1つに採択されています。
LIVING & DESIGN 2014 住まいと暮らしのリノベーション TOTAL INTERIOR
会場:大阪国際会議場(グランキューブ大阪/大阪市北区中之島 5-3-51)
会期:2014年10月15日(水)~10月17日(金) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
入場料:1,000円(招待状持参者、事前登録者は無料) 事前登録はこちらより
主催:LIVING & DESIGN 2014実行委員会
総合プロデューサー:喜多俊之
I&Cの展示ブースは、正面エントランスから入り、会場左手の15番コーナーになります。
*I&CではLIVING & DESIGN会期中、南船場のショールームでも「LAP」シリーズの企画展示を実施します。住空間をイメージした環境で、同製品の機能やデザインを堪能することができます。展示は、「まちデコール」開催期間の10月11日(土)〜10月19日(日)までを予定。詳細はショールーム(Tel:06-6226-7732)までお問い合わせください。