「燕三条 工場の祭典」は10月2日〜5日に開催

金属加工業の盛んな新潟県燕三条地域で、普段は見学できない工場を公開する「燕三条 工場(こうば)の祭典」が始まる。

「燕三条 工場の祭典」は燕市・三条市に集積する鍛冶や鋳物メーカーがものづくりの現場を一般の人に見てもらいたい、というつくり手の思いから始まったイベント。第1回の昨年は3日間で約1万人の来場者を数え、その約4割が県外からという盛況ぶり。

今年の開催は10月2日から5日までの4日間。金型や工具といった道具類から、銅器、包丁、カトラリーのような生活用品まで、59の会場がいっせいに製作現場を公開し、見学ツアーやものづくりワークショップを開催する。

ネイルサロンが厚い信頼を寄せる爪切りの「諏訪田製作所」、iPhone、MacBook Airの初期の背面パーツの金型を製作していたことで知られる「武田金型製作所」なども参加。技術の流出につながりかねないため、製作現場は非公開にしたいというメーカーが多いなか、貴重な機会だ。真似しようと思っても真似できないほど、腕に自信があるからできることなのだろう。

▲ 武田金型製作所の金型工場。現在は受注の8割が自動車部品をつくるための金型製作だという。送られてきた部品の図面に対して、どんな金型が必要なのか設計から行う。自動車のデザインが変われば部品も変更されるため、金型もつくり替えることになる。金型は発注主に納品するため工場には残らないのだとか。

▲ 自動車部品の研磨加工を手がける山﨑研磨工業では、一片の曇りもない鏡面研磨の工程を見ることができる。タンブラーの研磨体験ワークショップを申し込み制で開催。ステンレスの酒器を磨くのは、金属臭が減ることでお酒がまろやかになるという理がある。

▲ 山﨑研磨工業ではテーブルウェアのように装飾性を追求して研磨するものに加え、医療器具や水道管のように衛生上、限りなく細菌の繁殖を防ぐために施す研磨もある。

▲ 銀座・ダンヒルのバーバーで使用されているコスモスミスの理美容鋏。クシ刃の形状が特徴で、種類は約90種にも及ぶ。素人が髪を切っても、ほかの鋏と比べて切れ味の違いは歴然。最高級のものは80,000円するという。

各工場では職人のみなさんから話を聞くこともできる。質の高い製品ができても、新潟という土地からどのようにして世界と接点を持っていったのか、ものをつくるだけではない、市場へのアプローチの仕方も聞いてみたい。(文/長谷川香苗)



「燕三条 工場(こうば)の祭典」

会 期 10月2日(木)〜 10月5日(日)

開催地 新潟県三条市・燕市全域

主催・運営 「燕三条 工場(こうば)の祭典」実行委員会