NEWS | サイエンス
2014.09.01 17:41
『建築する動物』
インゴ・アルント 写真/ユルゲン・タウツ 文(スペースシャワーネットワーク 2,800円+税)
『ゲオ』『ナショナル ジオグラフィック』『BBC ワイルドライフマガジン』などで作品を発表する写真家、インゴ・アルント。その彼が2年にわたり世界各地で撮影した、昆虫、海洋生物、鳥などの「巣」を集めた作品集。
1つ1つの住まいが、奇妙な形であったり、驚くほど美しかったり。動物行動学者ユルゲン・タウツの解説によって、動物の生態と巣づくりの関係を知ることができる。
例えば、オーストラリアに住むオオニワシドリのオスは、メスを誘うために、小枝をベースにトンネル型の東屋をつくり、小石を敷き詰め、カタツムリの殻や羽、木の実、花で、飾り付ける。場合によっては、木の実を噛み砕き、内壁に塗ることもあるという。
また、磁石シロアリの塚は、高さ3メートルほどに及ぶ平たい形状。どれも正確に南北を向き、換気システムを備えることで、内部温度は常に一定に保たれているそうだ。
動物建築の最高峰として、ミツバチの巣も紹介されている。
昆虫や鳥だけでなく珊瑚や二枚貝も取り上げ、動物の住まいの不思議と美意識にあらためて驚かされるような写真集だ。A4変型、160ページ、並製。以下、目次より。
1 鳥
目的が建築物をつくりあげる
2 節足動物
独自世界のクリエイター
3 哺乳類
風景の建築家
4 サンゴ、二枚貝、巻貝
石灰化した建築家
5 インゴ・アルント
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