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2014.07.03 13:45
『SFを実現する 3Dプリンタの想像力』
田中浩也 著(講談社現代新書 840円+税)
ここでいうSFとはサイエンスフィクションであるとともに、ソーシャルファブリケーションのことでもある。昨今、善くも悪くも何かと話題の3Dプリンタだが、それは今目の前でできることだけを取り上げているにすぎない。グローバルインターネットにつながることで、3Dプリンタがどのような世界を実現するのか。日本における「ファブラボ」「ファブシティー」の推進者である筆者が多様な視点から考察していく。
私は「3Dプリンタで何がつくれるのですか」という質問をよく受けるのですが、そのたびに「ワープロで何が書けるのですか」や「ピアノで何が弾けるのですか」という質問と同じような奇妙さを感じてしまいます。
3Dプリンタをはじめとするデジタル工作機械は、既存の何かを効率化したり、つくりだしたりするツールというよりも、……創造や発想を刺激する「発明」ツールだと常々考えてきたからです。
3Dプリンタは、私たちに「何をつくりたいのか」を問いかけているのです。
――本文より
以下、目次より;
まえがき モノとインターネット
第1章 SFとFAB 空想から現実へ
3D プリンタとの出会い/自己複製するロボット/生物のメカニズムをヒントにする/デジタル革命3.0 など
第2章 メディアとFAB 情報から物質へ
まるでデジタル・キッチン工場/コンピュータとファブリケータ/フィジカル・メディアをつくるとは?/既存の何か、ではないものを など
第3章 パソコンとFAB 「つかう」から「つくる」へ
ファブラボの起源/インドのハイテク自給自足生活/アポロ13号の「成功した失敗」/3Dプリンタが周辺機器ではなくなる日 など
第4章 地域・地球環境とFAB グローバルからグローカルへ
スタートレックの「レプリケーター」/宇宙船地球号/マテリアルは地産地消/オープンソースエコロジー/都市型ファブラボはまちのシンクタンク? など
第5章 「ものづくり」とFAB 工場から工房へ
「つくる」と「つかう」の極端な分断/素材の新しい性質を引き出す/「ロット数」の壁を超える/ものづくりの喜びを回復する など
第6章 デジタルとFAB そして「フィジタル」へ
アヒルの義足をつくる/これはもしやスモールライト?/マクルーハンの警句/3歳の女の子の発明 など
第7章 日本とFAB 過去と未来をつなぐ
遠い過去と遠い未来の接続/人と人を編む/批評的なスタンスでものをつくる/旅の創造性 など
リアル・バーチャリティ あとがきに代えて
「偶然の一致」について