「ナレッジサロン」という言葉を聞いて、みなさんはどのようなイメージを持たれますか? 「サロン」という言葉から、ヘアサロンやネイルサロンをイメージする方も多いようですね。ある日、ナレッジサロンをご紹介しようとしたときに、「へぇ! ナレッジキャピタルでは髪も切ってくれるんや!」と驚きを露わにした主婦の方もいらっしゃいました。確かに、“ナレッジいっぱい”のヘアスタイルに仕上げてくれるヘアサロンがあれば、それはそれで面白いかも。
「サロン」のはしりは17世紀初めのフランス。宮廷や貴族の邸宅に文化人や学者、作家が集まって、知的な会話を楽しむ社交界のことをフランス語で「salone」と呼びました。そのサロンでの出会いや交流が、後の社会や文化、芸術の形成に大きな影響をもたらしたのです。そう、ナレッジキャピタルの7階に位置するナレッジサロンも、この「サロン」を源流とする会員制の交流サロンです。ここには、さまざまな専門分野、アイデアやビジョンを持つ人が集います。ビジネスパーソン、研究者、クリエーター、大学など教育機関の関係者……。それぞれの能力や特色を生かしながら、分野を超えたさまざまな人材の交流や想像もしなかったような出会いから、日々新しい価値やプロジェクトの種が生まれ続けているのです。
そんなナレッジサロンの中は上の写真のような感じ。自由に利用できるいくつかのラウンジと、打ち合わせや会議ができるミーティングスペース、個人での作業に集中したいという人が利用できるワークスペースなど、さまざまな設備が整っています。いかがですか? さすがに貴族の邸宅とはいかないかもしれませんが、高級感はありますよね! ちなみにナレッジサロン内に配置されている家具は、どれも世界的に有名な一流のデザイナーによるもの。自分のお気に入りの場所を見つけるのも素敵です。実際にお気に入りのイスを巡って密かな競争が起きていることもあるのだとか……?
ナレッジサロン会員は普段ここで仕事をしたり、ミーティングをしたり、アクティビティや交流会に参加したりしています。私たちコミュニケーターは、そんな会員の方がおひとりでいらっしゃるのを見かけると、積極的にお声掛けをします。
コミュニケーター「こんにちは!」
ナレッジサロン会員「あっ、どうも。こんにちは」
コミュニケーター「今、何をされていたんですか?」
ナレッジサロン会員「今は、今度のプレゼンのスライドをつくっていました」
コミュニケーター「そうなんですね。何か新しいプロジェクトを始められるんですか?」
ナレッジサロン会員「ええ。海外の企業と一緒に仕事をすることになりまして……」
内容はともかく、こんなふうにコミュニケーターは会員の方からさまざまな情報を集めています。もちろん、仕事の話ばかりではなく、趣味の話や最近熱中していること、気になっていることや、時には悩んでいることまで。気さくに会話をするなかで、会員の方の情報を引き出していきます。そしてその情報をもとに、コミュニケーターは会員同士の新たなつながりをつくったり、会員の方が興味を持ちそうな情報を提供したりしています。
毎週木曜日に、ゲストスピーカーであるナレッジドナーを招き、セミナーや交流会を行うナレッジサロンの定番イベント「木曜サロン」のほかにも、会員が主体となって開催されているコミュニティがあります。フリーランサーの方たちの情報交換の場であるフリーランス・サロンや、ドイツ発祥のボードゲーム「カタン」をプレイするカタン会など、その内容は実にさまざまです。
上の写真は、あるテーマに沿ってそれぞれが持ち寄った本について発表し、最後に最も読みたいと思った本を選出する「ブックサロン」の様子。とっておきの1冊を媒体に、会員同士の交流の輪がどんどん広がっていくコミュニティです。選書のセンスが問われるのはもちろんのこと、その本をどのように紹介するかが腕の見せどころとなります。
過去に「バレンタイン・デイに読みたくなる本」というテーマで、パウロ・コエーリョ著の『アルケミスト』を紹介した方は、「女の子からチョコレートをもらえるだろうという期待は、いつも裏切られてしまう。欲しいと思って何かを追い求める気持ちと、ほんとうの幸せは自分でも気がつかないくらい身近なところにあるんだと思い直す気持ちと。その両者のバランスを上手く取ってくれる本」という発表をしました。紹介される本には、どれも個性的なストーリーがあります。そこには紹介する人の人間性が滲み出ているので、お互いにより深い交流ができるきっかけにもなっているというわけです。結局、その回の参加者からは「テーマとの関連性が秀逸」との声が多く上がり、『アルケミスト』がベスト本に選出されました。
この日は、ブックサロン部長の千葉宜子さん(写真左)と、天満橋ビブリオバトル主催者の池内祥見さん(写真右)をお引き合わせ。初対面ということもあって、何となく緊張している様子が窺えるおふたりです。ビブリオバトルとは、発表者が読んで面白かった本を5分間で発表し、参加者全員で「どの本がいちばん読みたくなったか」を基準に投票し、最も多く票を獲得したチャンプ本を決めるというイベント。形式的には、ビブリオバトルもブックサロンもほとんど同じですねというところから、両者の距離は一気に縮まります。
ナレッジサロン内でも、このビブリオバトルを開催する予定があるという池内さん。ゲーム性が高いビブリオバトルと、盛んに交流が生まれるブックサロンとのコラボレーションで、今後ナレッジサロンでイベントを企画していきましょうと、とても前向きに話が進みました。具体的にどんなイベントになるかは今後のお楽しみです。
このように、ナレッジサロンには新しい出会いからさまざまなモノやコトが生み出されていくという大きな可能性があります。ナレッジサロンにまだ来たことがないという方は、ぜひ一度見学に来てください。そして、ナレッジサロンを普段利用しているという方は、近くのコミュニケーターを捕まえて、いろいろと話をしてみてくださいね。そのことがきっかけとなって、何か「OMOSIROI」ことに発展していくかもしれませんよ!(文/コミュニケーター・K)
この連載は、ナレッジキャピタルのコミュニケーターの皆さんに、ナレッジキャピタルとその周辺についてのさまざまな話題を提供していただきます。