私は、年末年始とナカダイの決算時に、必ず、“振り返り”をします。自分なりには一生懸命仕事はしているつもりで、しかも、性格上走り続けたい性分のため、振り返りという自分の判断基準の確認を何度もします。「こうしたい!」という気持ちしか頼るところがないので、自分が選択した判断を言葉と文字で落としこむ作業です。一生懸命仕事して走り続けて目の前のことに集中すると、思っていたのとは違う展開だったりします。山登りでもありますよね。がんばって、足元をひたすら見て、登って、後ろ振り向いたらすばらしい景色だった……、いや、こんな少ししか登ってなかったのか……などなど。
前回、何も置かれていない品川ショールームの様子をお見せしましたが、モノを置くと上の写真のようになります。この写真を見て、少し「こうしたい!」に近づいた気がしています。なんというか廃棄物を特別扱いしない感覚。文字通り廃棄物を言い訳にしない空間というか。しつこいですが。モノの終わりとは埋めたときです。リユースしても、リサイクルしても、最後は粉々にされて、または焼却されて灰として埋められます。人間と同じです。
モノの流れが、消費したとき、捨てたときで終わるのではないという当たり前の現実があって、だったら、埋めるまでの距離を長くしよう、延命しようという感覚。改めて、分別してきれいに並べてみると、廃棄物という素材は、「ゴミとして捨てられるはずだったのに……」という理屈を超えて、ただただ立派な素材です。廃棄物という素材です。
最近、仲間に加わった素材を2つ紹介します。両方とも、“廃棄物という素材”を世の中に送り出したいという強い気持ちを持った企業からのものです。まず上の写真は、株式会社山櫻から封筒や名刺を製造する際に出る素材です。マテリアルプロフィールが興味深いのは細かい紙吹雪です。紙の角を丸く加工をする際に出るものです。もうおわかりですね。そうです、星のような形なんです。早速、ナカダイでワークショップを仕立ててみました。
次はユニットバスの壁です。パナソニックの住宅設備関連の会社からのモノです。他にもいろいろありますが、これがいちばんわかりやすい。あー、風呂の壁ってこんないろんな柄というか、デザインがあるのかと改めて思いました。
ユニットバスの壁は、ホワイトボードのように使用できて、汚れたら風呂掃除用洗剤で拭けば、ピッカピカに戻ります。水に強く、現場で加工もしやすいこの素材の使い方には夢が広がるばかりです。これも担当の方が自社の商品を廃棄するのではない、別の使い方を探っています。
自信を持ってお客さんに販売しているモノだから、別の使い方だっていい、とにかく、いろいろなお客さんに自社の素材を使って欲しい! 両社とも語るせりふは同じ。これが、廃棄物という素材です。魅力ある自社商品を多くのお客さんに売るという当たり前の商売とは違うもの。つまり“直接的ではない価値”です。“間接的な価値”でもありません。お客さんの求めるものを本気でつくって、喜んでもらえるようなサービスをしてきた結果、自分たちが供給しようと思ったのとは違うかもしれないけれど、ビジネスにつながっているという流れ。本業を愚直に続けている結果です。
多様な価値観と自由な発想で、社会に貢献するナカダイの理念を意識しながら、2014年も走ります。(文/中台澄之)
この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。