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2013.12.02 14:21
(デザイン:永井一正)
中川ケミカルが主催し、ビエンナーレ方式で開催している装飾用シートを使用したデザインアワード「CSデザイン賞」は、今回で18回を迎える。同賞には「一般部門」と「学生部門」の2つがあり、募集期間はともに2013年12月2日(月)から2014年3月31日(月)まで。
カッティングシート®(およびそれに準ずる装飾用シート素材)を使用し「2012年4月1日から2014年3月31日」までに実際に施工された作品を対象とするのが「一般部門」だ。審査員には審査委員長の永井 一正氏をはじめ、内田 繁氏、佐藤 卓氏、原 研哉氏という前回のメンバーに加え、新たに建築家の石上 純也氏が加わり、より建築審査にも厚みが加わった。
前回のグランプリは、スペインのデザインスタジオ、Stone Designsが手がけた「Spainalight exhibition」が受賞。彩度の高いオレンジ色のカッティングシート®を用いた印象的な空間だった。
▲第17回CSデザイン賞 学生部門 グランプリ作品「Spainalight exhibition」(デザイン:Stone Designs)
一方の「学生部門」は、カッティングシート®の使用を前提としたデザイン提案を募集している。審査委員長は松下 計氏。審査員には菊竹 雪氏、工藤青石氏、廣村正彰氏があたり、学生対象のアワードながらも本格的な審査がなされる。
今回のテーマは、前回と同じく「デザインステッカー」の提案。カッティングシート®に文字や絵柄をデザイン、加工した半既製品のステッカーのさまざまなアイデアを募集している。
優秀な応募作品は中川ケミカルからの商品化も検討されるため、パッケージまでを含めた提案を求められるのが特徴だ。
応募を検討する学生たちにヒントをもらうべく、東京・東日本橋にある中川ケミカルを訪ねた。質問に答えてくれたのは、クリエイティブ企画部 デザイン室の小林雅央ディレクターと細川直祥デザイナー。
「カッティングシート®は、ものの色を変えられる素材です。床、天井、壁に塗るペイント材に近い使われ方をしていますね。ディスプレイ、サイン、建築で培った実績を、他に転用するアイデアを期待しています」と小林ディレクター。
ただ「画期的で面白い作品でも、商品化が難しい表現もある」と言う。前回の応募から商品化された優秀作品を紹介しよう。
「つけまつげ」からインスピレーションを得た「mitsukema」は、日常に使う道具に貼って愛着の度合いを高めるもの。そこが評価の対象となったという。ネーミングもユニークだ。
▲第17回CSデザイン賞 学生部門 銀賞作品「mitsukema」(デザイン:高橋理沙 武蔵野美術大学 基礎デザイン学科)
「Animalake」は、どこでも動物の池になるというのがコンセプトのステッカー。ずっと貼るのではなく、剥がしても楽しめる。カッティングシート®ならではの制約をプラスに変えていた点が評価された。パッケージデザインにも統一感がある。
▲第17回CSデザイン賞 学生部門 入選作品「Animalake」(デザイン:中川恵理子 武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科、新美宏樹 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科)
国内で使用されている直径28mmのペットボトルのキャップに貼る、お気に入りのステッカーを提案したのは「decocap」だ。繰り返し使うこともできるため、オフィスの冷蔵庫などでも実用的かもしれない。
▲第17回CSデザイン賞 学生部門 入選作品「decocap」(デザイン:西川令花 椙山女学園大学 生活環境デザイン学科)
残念ながら、前回は最優秀作品に贈られる「金賞」の受賞作はなかった。
「もうひと工夫、プラスアルファのアイデアがほしい。これはカッティングシート®を使わなくても良いのでは? という案が多かったです。ぜひ『貼る』という行為で、楽しさのバリエーションを出してください。シートの特性とデザインの融合が見たいですね」と細川デザイナー。
それには「まず実物に触れることが一番」と小林雅央ディレクターはアドバイスをする。東日本橋の中川ケミカル3階「CSデザインセンター」は、数多くの素材が揃うショールーム。都営浅草線「東日本橋」駅から徒歩1分、平日10時30分から18時30分までオープンしている。
LED、白熱灯、蛍光灯などの環境下でシートがどう見えるかを検証するライトボックスもある。ここに来ると、課題へのヒントが見つかるかもしれない。作品の直接搬入もこちらで受け付けているという。
なお、2013年12月17日(火)から2014年3月31日(月)にかけて、前回の一般部門グランプリ、Stone Designsによる企画展「MY TOKYO」もCSデザインセンター内で開催されるので、あわせてチェックしておきたい。(文・写真/神吉弘邦)
▲小林雅央ディレクター(左)と細川直祥デザイナー。
第18回 CSデザイン賞 募集概要
一般部門:カッティングシート®(およびそれに準ずる装飾用シート素材)を使用し、指定期間内に実際に施工されている作品の募集
学生部門:カッティングシート®の使用を前提としたデザイン提案の募集。テーマは「デザインステッカー」
応募資格:一般部門 は規定なし、学生部門は応募期間中に在学の方(年齢、国籍は問いません)
募集期間:2013年12月2日(月)〜2014年3月31日(月)
発表:入賞発表 2014年7月上旬予定(Webサイト)/贈与式 2014年10月上旬予定
審査員:
[一般部門]永井一正(審査委員長)、内田繁、佐藤卓、原研哉、石上純也
[学生部門]松下計(審査委員長)、菊竹雪、工藤青石、廣村正彰
賞金:
[一般部門]グランプリ(1点)100万円 準グランプリ(3点)30万円 優秀賞(5点)10万円 中川ケミカル賞(若干数)10万円
[学生部門]金賞(1点)15万円 銀賞(2点)10万円 銅賞(3点)5万円 入選(5点)賞状
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