NEWS | サイエンス
2013.07.08 17:55
『海藻 海の森のふしぎ』 (LIXIL BOOKLET)
横浜康継、鍵井靖章、北山太樹、藤田大介、川井浩史 著(LIXIL出版 1,890円)
タイトルを知らずにページをめくったら、いったい何の写真だろうと思うだろう。植物であることはわかっても、艶やかで、カラフルで、見たことのないかたちの数々。有機的でありながらも、どこか不思議な美しさが漂っている……。
巻頭を飾る写真は、押し花のように、海藻を「おしば」にする作家、野田三千代氏の作品の数々。この「おしば」を見るだけで、いかに海藻の世界が奥深く、未知なる魅力に溢れているかが伝わってきて、引き込まれていくのではないだろうか。
日本で海藻研究が本格化したのは、明治以降だという。まだほんの150年前のことだ。しかし、海に囲まれた日本では、古くから海草を食していたはず。本書後半では、日本の海藻研究を紹介しつつ、海藻世界の奥深さを解説していく。海のなかに広がる海藻の森、海中林の写真も、必見だ。
A4判変型(210mm×205mm)、並製、76ページ。
同名の展覧会が、7月23日まで大阪のLIXILギャラリーで開かれている(東京、名古屋へ巡回予定)。
以下、目次より。
海藻のデザイン(海藻おしば 野田三千代)
フォトインデックス
海藻の基礎知識
海藻の色と光合成の謎(横浜康継)
海の森へ(鍵井靖章)
日本の海藻研究
岡村金太郎の植物図(吉田忠生)
日本藻類図譜(北山太樹)
日本の海藻学(北山太樹)
越境する海藻標本(川井浩史)
記録・伝承から見た藻場と磯焼け(藤田大介)
海の森の主役、ジャイアントケルプのたどった道(川井浩史)