ウィスキーグラスを漆器で楽しむ「堆朱で粋酒」
ーーSHIKKI de SHUKI 2013より

「堆朱で粋酒」
デザイン:中村健三
漆器制作:白木屋総本家・漆器店

ウィスキーグラスとしてデザインしました。ガラスのグラスでウィスキーをロックでいただくと、暖かい部屋では外側に水滴がたくさん付いてコースターなどが濡れ、あまり嬉しくありません。そこで、生地が木製の漆器であれば、その点がかなり改善されるのではないかと考え、漆器のグラスにしました。

伝統の美しさを持つ堆朱(ついしゅ)はひじょうに魅力的で、箸やテーブルなどによく使われます。これをグラスの内側に施せば、液体を入れたときにキラキラした感じになり、より美しさが増すのではないか。また、グラスを傾けたときに堆朱の模様が液体の揺らぎとともに変化する様子が面白いと考え、容器内側の塗りを堆朱でデザインしました。しかしながら、塗りと磨きを施す堆朱を容器の内側に施すのは難しく、当初は堆朱に白蝶貝をちりばめてもらう予定でしたが、そこまではできませんでした。次回は是非やってみたいと考えています。

中村健三/ルーツは工学系エンジニア、今はフォト系クリエイター。フォトでは各種雑誌で入選。デジカメマガジンではプリント部門で最優秀賞を受賞。2007年には儀象堂で個展を開催。えんぱーくオープニングセレモニーに協力、奈良井宿等の高精細画像を展示。

この連載では、去る2月14日〜16日の3日間にわたって、アクシスギャラリーで開催された「SHIKKI de SHUKI 2013展」に出展された9名のデザイナーによるそれぞれの理想の酒器を紹介していきます。