神戸ルミナリエに願う
「18年目の不変の灯り」

2012年12月、神戸の冬を彩る「神戸ルミナリエ」が18回目を数えました。今回のテーマは「光の絆」。12日間で340万人もの来場者があったとのこと。一昨年からLEDを使用した作品がお目見えし、今回も次世代へと記憶を伝える新しい絆を表す「光の戯れ」なるLEDによる作品が彩りに加わりました。

やはり、前回感じた違和感を、今回も感じることになりました……。すぐにその違和感は「ゆらぎ」であることに気づきました。無数の白熱の灯りは揺らぐのです。そして灯りのゆらぎは、こころをゆらがすのです。そのこころに伝わる灯りこそが本当の意味での「鎮魂の灯り」だと再認識させられました。

ツリーイルミネーションはLEDでも、風にゆらぐことで華やかさが醸し出されるのですが、モニュメントでは灯りが揺らがないと駄目なのです。時代は、LEDイルミネーションから3Dイルミネーションへと移り変わろうとしています。しかし「鎮魂の灯り」は静かに心にゆらぐ灯りであってほしいものです。そして「光の絆」は途絶えてはいけないと思います。さまざまな関連プロジェクトや、使用電力の一部にグリーン電力を使用するなどで開催の意義を表現している神戸ルミナリエは、どんな規模になろうとも「不変の灯り」で継続することを願います。

そして、震災から19年目を数えます。(文/マックスレイ 商品研究所 所長 永井一夫)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。