スパイラルガーデンで展示発表されたアーティスト・鈴木康広さんの「屋根のベンチ」が、「第29回全国都市緑化フェアTOKYO」の一環で、東京・武蔵野市の井の頭恩賜公園に移設された。
Photos by Yasuhiro Suzuki
地上高はおよそ160cm。それほど高さはないものの、「地上にはない、とてもいい風が吹いていた」と鈴木さん。また、設置したとたん、3歳前後の男の子が「屋根のベンチ」に登ったり降りたり。しまいには、頭を下にしたスーパーマン姿勢でスルスルと滑り降りていったそう。これには制作者の鈴木さんも中村製作所の担当者たちも驚きだったとか。
こういった子供の遊び方に表れているように、「屋根のベンチ」は“屋根”と“ベンチ”のバランスが絶妙に図られている。外観は、どこから見ても屋根。けれど、上に登ってみると、身体が感じる安定感や堅牢さはまさにベンチだ。
鈴木さんによれば、そのポイントは「屋根の勾配にあった」という。「大工さんが安全性の目安とする3寸勾配では緊張感に欠けるうえ、平たくなりすぎて屋根らしくなく、4寸を目安に設計していった」。もちろん、木材表面にわずかに施した足がかりや、隙間や角の処理などにも微調整を重ねることで、屋根らしさとベンチとしての安心感の両立が図られている。
スパイラルガーデンの「NEW GREEN STORIES アートが紡ぐ、新たな公園の時間」展で発表された、そのほかの作品も順次井の頭公園に移設中。9月29日（土）〜10月28日（日）までの展示期間、お近くの方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
会 期：2012年9月29日（土）〜10月28日（日）
会 場：上野恩賜公園会場、井の頭恩賜公園会場、
日比谷公園会場、浜離宮恩賜庭園会場、
海の森会場、国営昭和記念公園会場 ほか
主 催：東京都、財団法人都市緑化機構
