ヴィトラが初めてバーバー・オズガビーと組み、2011年のミラノサローネで発表した「TIP TON」は、座面が前方に傾く“チルトアクション”機能が特徴。それにより着座した姿勢からスムーズに立ち上がることができ、また作業をしたり食事をしたりといった前傾姿勢でも骨盤と背骨をまっすぐな姿勢に保って、血流を滞らせることがない。その秘密は前脚の先端（Tip）に設けた9度の傾斜。これが製品名の由来になっている。

▲ 3月下旬に開かれたhhstyle.com 青山本店主催の講演会で、バーバー・オズガビーは「TIP TONの開発では、機械仕掛けのメカニズムを使わず、いかに角度を変える動きを確保するかがカギだった」と語った。

バーバー・オズガビーは教育の場に用いる椅子として、発表のおよそ3年前からリサーチを進めていたというが、完成したTIP TONは学校や図書館はもちろんのことカフェテリアなどの商業スペース、オフィス、ダイニングや書斎などのホームユースでも活躍しそうだ。それは木製チェアの原型といえるようなフォルムを踏襲しているからであり、8色というカラーバリエーションの豊富さによってもたらされている。

▲ ヴィトラとバーバー・オズガビーの新作「Map Table」もhhstyle.com 青山本店で展示中。

さらにチルトアクション機能に加え、スタッキングも可能というように2つの機能を1つの形に見事に融合。TIP TONは現段階で、エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーによるロンドンベースのバーバー・オズガビーにとっての代表作になったと言えるだろう。ヴィトラにとっては、このチェアのために新技術を開発し、他の素材やパーツを用いず、ポリプロピレンの射出成形でこれを実現させている。

そして、このTIP TONが日本でも3月下旬から発売を開始した（27,300円）。ロンドンオリンピックの聖火トーチもデザインしているバーバー・オズガビーには、今年も目が離せそうにない。

▲ 講演会では、聖火トーチのプロトタイプも披露。ボイドを開けたアルミの二重構造で、ボンベなどの内部機構が外から見てわかるようにしたという。

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