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仙田 満+環境デザイン研究所 著
『遊環構造BOOK SENDA MAN 1000』


『遊環構造BOOK SENDA MAN 1000』
仙田 満+環境デザイン研究所 著/藤塚光政 撮影(美術出版社 8,400円)

1,000ページ、背表紙の厚さはなんと72mm。環境建築家・仙田 満の手がけた125のプロジェクトを収めた分厚い作品集だ。

配置図や平面図などデータも記されているが、各プロジェクトを最もよく伝えているのは、40年にわたって仙田の作品を撮り続けている藤塚光政の写真だ。そして、編集・制作担当も務めた藤塚の「SENDA・MANを撮影して40年」という文章が、「遊環構造」を理解するのに最もわかりやすい。

「一人の作家の仕事を40年続けて撮影することは滅多にあることではない」と冒頭に記したうえで、「“環境”という言葉は当時(1968年)ごく一般的な普通名詞で、今日のように地球環境やエコロジーを意識した言葉ではなかったが、仙田はこの頃から意識していたのだ。それはたぶん、“こどものあそび空間”を研究し、自らの建築や遊具が環境と調和しなければ、構想と一致しないことを確信していたからだろう」と続く。

さらに、「撮影を始めた頃、僕の頭に浮かんだのは、“こどもに遊具は必要なのか?”という疑問だった。(中略)つまり、動きを誘発する装置なのである。これが仙田の遊具だ、建築もそうなんだと理解した」。

藤塚の写真は、どれも竣工後間もない、人や物の全くない建築写真ではない。藤塚が「仙田の建築や空間はこどもが入って動き回らないと、スケールも動線も空気も、なによりこどもと反応しあう空間が見えないのだ」と綴っているように、保育園やこども広場、科学館などは子供だらけ、人だらけ。生き生きと走り回り、遊び倒している子供たちの姿が、写真からはみ出しそうなくらい迫ってくる。

誰もが125のプロジェクトのどれかに、行ったことがあるのではないだろうか。そのときの記憶が蘇ると、「遊環構造」とは何かが体感として理解できるような気がする。

作品データや年表のほか、斎藤公男、内田祥哉、植田 実、藤塚光政、塩川壽平、藤森照信との対談も収録。1,000ページ、A5判、並製。