「3年目からの振り返り」
僕たちが担当したデザイナーはドリルデザイン(Drill Design)さんでした。縦にするとA4、横にするとA5の大きさとなる立方体状の金属フレームと木製の天板という構成で、使用者が自由に組み合わせてつくれる棚というおふたりらしいシンプルできれいなデザインの什器でした。
デザイナーからのコンセプト説明の中で、われわれの班には天板とフレームの固定方法を考えるという課題が与えられました。結論から言うと、僕たちはおふたりが満足する解答を持っていくことができませんでした。マグネット・ベアリング・くさびなど何十もの案を持っていきましたが、どれも採用とはなりませんでした。当時悔しい思いをしたのを覚えています。ただ、そのなかで天板の断面を長方形ではなく六角型にしたものが目に留まり、意匠的にその形を採用方向で制作へと進むこととなりました。
制作に進み、実際の納まりなどいろいろな問題が出ましたが、どれも新鮮で意欲的に取り組むことができたように思います。最終的にはデザイナーから「100点の出来栄え」との言葉をいただくことができました。思い起こすと反省ばかりの研修でしたが、品質・コスト・機能・納まりなど、仕事をするうえで欠かすことのできない要素をすべて経験できる良い機会でした。
最後に、この原稿を書くにあたり、約2年振りに最終プレゼン資料を見返しました。自分の班は本当にきれいで良くまとまった資料でした。同じ班だった同期の他の3人にはこれからもがんばってほしいと思ったのと、Drill Designのおふたりとまたお仕事をする機会があり、少しでも成長した姿をお見せできればと思います。(文/佐久間高志、CS事業部 第1制作統括部 制作)
「A4×A5 shelf」
デザイン:林 裕輔・安西 葉子(DRILL DESIGN)
協力会社:(株)山岸製作所、滝沢金属工業(株) ほか
撮影:ピップス 御園生大地
展示や内装の設計・施工を手がける丹青社が、2009 年から新入社員教育の一環として行っている「SHELF制作研修」。本連載では、研修に参加された丹青社の方々に、それぞれの作品について語っていただきます。また、この研修成果については、20119月27日(火)〜10月5日(水)までアクシスギャラリーで開催された「人づくりプロジェクト SHELF展」において、展示報告されました。