vol.13
「Ray Solar Charger」

クリーンなエネルギーのなかで、最も手軽で効果的に利用できるものとして、晴れていれば発電可能なソーラーパネルがある。

筆者もポータブルタイプのものをいくつか利用しているが、実際に使ううえで案外気を使うのが、その置き場所や置き方だ。単純に床でも地面でも平らなところに置くのがいちばん楽だが、それでは太陽光がパネルに当たる角度が浅くなり、発電効率が落ちてしまう。また、クルマや列車のなかで利用しようとすれば、必然的に窓際の平らな部分、つまりダッシュボードや引き出したテーブルの上などに置くことになり、不安定だったり邪魔になったりする。

デザイナーのブランドン・クレイベンがつくり出した「Ray Solar Charger」(予価39.99ドル)は、この問題をコロンブスの卵のようなアイデアで解決した。

Ray Solar Chargerは、小さなブラウン管のような形状で、画面にあたる部分にソーラーパネルが組み込まれている。そして、周囲が吸盤となっており、そのままガラス面に貼り付ければ、必ず外光に対してパネル面が向く(必ずしも太陽光に直角になるわけではないが、平均的に効率よく集光できる)のである。また、床や地面に置く場合にはスタンドによる角度調整が効き、このスタンドは携帯時に充電ケーブルをまとめる役目も果たす。

求められる要素を巧みにカタチに落とし込んだRay Solar Chargerは、必要から生まれたデザインの強さを示している。




大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など。