本や紙に適した「光と陰影」とは?
「TAKEO PAPER SHOW 2011」のライティングをレポート

毎年恒例で、さまざまな分野のクリエイターが参加する「TAKEO PAPER SHOW」。いつもなら桜の花が満開の4月開催ですが、今年は東日本大震災の影響もあり、秋に開催されています。メイン会場を見本帖本店に、都内各所のサテライト会場と連携しています。

Photos by Takashi Sekiguchi/Vda/amanagroup

今年のテーマは「本」。紙を取り扱う竹尾にとってこのテーマはとても大きなものだと思いました。各業界のトップクリエイターの愛着ある蔵書が展示されています。私たち照明を担う者の必読書、谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」は、茶道家・千宗屋氏の蔵書として紹介されていました。

とても素敵な企画が「シェアシェルフ」。いろいろな方々の選んだ本が並べてあり、自分の本を持って行き、交換するにふさわしい本と入れ替えます。まさに「知」のシェア。私も参加してきました(http://www.takeopapershow.com/)。とっても興味深く、楽しい企画です。

本のディスプレイもとても斬新で、陰影が際立っていました。ページが自然に空調の風にたなびいていて、まるで本が息をしているような展示。

影が際立ち立体感がでるようにと、ページの裏側などに厚紙のようものを入れて調整したとを聞きました。会場全体も少し明るさを落とし、外光が極力入ってこないようにスクリーンを設え、1日中秋の夜長のような雰囲気です。

最近は、活字をスクリーン上で読むことが多くなってきていますが、ページをめくる触感、紙の手触り、新刊から漂ってくる初々しい匂い、愛着ある1冊が時を経て醸し出す匂いや文字の色など、五感が刺激を受ける「本」との関わりを大切にしていきたいと思いました。

TAKEO PAPER SHOW 2011は2011年10月20日~11月4日まで。
 http://www.takeopapershow.com/

マックスレイのオリジナルブランド「Ray」には竹尾の紙を使った照明があります。安積朋子さんがデザインしたLittleWoods(上右)とTwiggyLamp。これらの展示もある、『Ray / MAXRAY INC.NEW RELEASE』は2011年10月31日~11月3日までプレイス青山(渋谷区渋谷4-2-4-5)で開催。紙の可能性をぜひ見に来てください。詳細はこちら。(文/マックスレイ 谷田宏江)

この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。