NEWS | 建築
2011.06.15 15:47
『TORAFU ARCHITECTS 2004-2011 トラフ建築設計事務所のアイデアとプロセス』
トラフ建築設計事務所 著(美術出版社 2,940円)
鈴野浩一と禿 真哉による話題の建築ユニット、トラフによる初の作品集。「トラフ建築設計事務所のアイデアとプロセス」という日本語タイトルにある通り、彼らのデビュー作となる2004年の「テンプレート イン クラスカ」から、最新作に当たる今年のミラノサローネのキヤノンの展示まで、約50点の作品と設計思想がぎっしりと詰まった1冊です。
建築をはじめ、ショップのインテリアデザインや展覧会の会場構成、さらに話題の「空気の器」といったプロダクトデザインまで、多岐にわたるトラフの仕事を6つの章に分けて紹介します。写真やテキスト、図面などを手がかりに、彼らの豊富なアイデアや、建築という分野を飛翔させる豊かな発想力に触れることができる構成です。
また、皆川 明による前書きや青木 淳による寄稿文も実に味わい深く、特に青木が示した「〈作為〉-〈作者〉=〈ストーリー〉」という図式は、トラフのクリエイションの魅力を言い当てた実にうまい表現だなと、本書を読んで納得させられること請け合いです。
「かみの工作所」の商品として展開される「空気の器」や「tapehook(テープのような紙フック)」などのプロダクトを除けば、ショップのインテリアやインスタレーションを主にする彼らの仕事を手元に置くことは案外難しかったりもしますが、本書の刊行を機に、手元に置ける彼らの(本の形態をした)“作品”が1つ増えたことは、トラフのファンならずとも嬉しいかぎりでしょう。身近な感覚から引き出される美しく、そして心地よい驚きを備えたトラフの世界、ぜひ、手にとってみてください。
『TORAFU ARCHITECTS 2004-2011 トラフ建築設計事務所のアイデアとプロセス』
仕様:B5判変型/216ページ
目次:チャプター1 動きを誘発するかたち
テンプレート イン クラスカ/NIKE PRESSROOM/川崎市市民ミュージアム「横山裕一」展…
チャプター2 ワンアイデアが持つ力
港北の住宅/Canon NEOREAL WONDER/ハーマンミラーストア東京/エッグ座布団…
チャプター3 素材とグラフィック
ミナ ペルホネンのエキシビション/KANEKA at Milano Salone 2011/NIKE 1LOVE…
チャプター4 オフィススペースへの提案
NIKE JMC/1→10design 京都オフィス/面白法人カヤック 恵比寿オフィス/DWJ Office…
チャプター5 かかわりから生まれるデザイン
Run Pit by au Smart Sports/チェルフィッチュ「フリータイム」…
チャプター6 最小限を最大限に
ブーリアン(東京大学医学部教育研究棟 鉄門カフェ)/tapehook/空気の器…
その他コラムなど