自転車メーカー「VIGORE」のフレームビルダー片岡聖登が綴る
『かけがえのないモノ』

もはやモノで溢れかえったこの時代に
あなたにとってかけがえのないモノはあるのだろうか。

直すことより新しいモノを買うほうが易いこの時代に
直してでも使い続けたいモノとは、何なのだろうか。

私たちはモノたちがないと生きてゆけぬような気がするが、
私たちが生きるためにいったいいくつもモノたちが必要なのだろうか。
いくつものモノたちを手に入れて生きていくために
いくつものモノたちを捨てていく。

モノたちに囲まれ
モノたちを得ることに飽き足らぬこの時代だからこそ
今一度モノと向き合い
あなたにとってかけがえのない一台をつくりたい。

私たちVIGORE(ビゴーレ) は、
一台ずつしか自転車をつくれません。
しかし、その一台はただ使い古されて捨てられるのではなく
その人にとっての「かけがえのないモノ」となるべく、
できるかぎり一人一人と向きあい、つくり上げるようにがんばっています。(つづく)

VIGORE(ビゴーレ)/もともと刀鍛冶であった片岡家がその鉄加工の血脈を活かして自転車づくりを始めたブランド。1930年から始まった片岡商会(後の片岡自転車店)当初から常に大流に惑わされることなく自転車を通したモノづくりと向き合ってきた。 VIGOREのブランドでは、ロードレース競技からトライアスロン競技用レーサーバイク、またダウンヒル競技用ダブルサスペンションマウンテンバイクなどの競技車両の開発を進めるとともにそのノウハウを活かして市街地用の車両を販売。2000年からは、自転車のフィッティングから自分だけの1台を感覚的に注文できる「スマートオーダー」を開始し、専門的な知識を有さないユーザーに対しても、オリジナルバイクに乗る楽しみと所有できる悦びを提供している。