モバイル電源として有望視されている燃料電池は、化学反応によって電力を取り出し、充電設備などがないアウトドアでも利用できる画期的な技術と目される。ただし、数年前からIT系のトレードショーなどで参考出品される例はあっても、なかなか実用レベルの製品が登場しなかった。
マイFC社の「パワートレック」(価格未定)は、製品のまとめ方も含めて巧みさを感じさせる燃料電池製品で、現在、販売チャンネルを整備する最終段階まで来ている。
多くのプロトタイプ製品が、タンクに液体燃料を補給して使うスタイルなのに対し、パワートレックは発電のための燃料をパック化し、扱いを容易にするとともに、誰でも簡単に本体にセットできるようにした。
また充電池機能も内蔵し、コンセントのある場所ではチャージして使い、ない場所では燃料電池で発電しながら利用することができる。電力はUSBポートを通じて取り出され、5V、1Aの定格出力を持つ。
外装デザインでは、発電時の発熱や水蒸気の発生など、燃料電池に不可避的な問題を解決するためのスリットなどのディテールが採り入れられ、特に水蒸気を拡散させる上面のオープニングが特徴的なアクセントとなっている。
大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など