vol.7 スタイラスキャップ
「モア/リアル」


タッチパネルを採用したスマートフォンやタブレットデバイスが普及するにつれて、指先では難しい細かい作業や微妙なタッチが求められるスケッチ用途などに、導電性のあるチップを採用したスタイラスペンが販売されるようになった。

それらのスタイラスペンは専用設計で、その目的のために開発されたものだが、普段から使い慣れたボールペンやサインペンの感覚そのままに利用できたらと考えたデザイナーのアイデアがユニークな製品として結実した。

その名も「モア/リアル」というこの製品は、正確にはスタイラスペンではなく、スタイラスキャップである。というのは、既存のビック、シャーピー、パイロット・ファインライナーの3本のベストセラー筆記具のキャップと置き換えて利用するようになっているためだ。

これならば、太さや握りはほぼ変わらずにタッチスクリーンに対する操作ができ、キャップを外せば通常の筆記具としても利用可能となる。

「モア/リアル」のデザイナーであるドン・レーマンは、クリエイター支援サイトのキックスターターで3月16日まで製造資金の調達中だが、すでに目標額は達成され、1個あたり20ドルでプレオーダーできる状態となっている。

以前に紹介したグリフもキックスターターのサービスを利用して事業化を行った例の1つだが、「モア/リアル」は、このサービスがユニークなアイデアを実現化するためのツールとして機能していることの良い証といえるだろう。




大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など