写真を見ただけでは、何の変哲もないロードバイクに思えるこの製品は、アリゾナ州のタスコンに本拠地を構えるバイクプロショップのフェアホイールバイクが開発し、テストライドを続けているカーボンファイバー製の超軽量自転車である。
一般に、6~7kgクラスであれば十分軽量と呼べる自転車の世界だが、このワーキングプロトタイプの重量は、前後のブレーキや10×2段変速機、カーボンファイバーリム、チタン製スポークなども含めてわずか2.7kg。そのため、デザイン的な遊びは皆無と言ってよく、オーソドックスとさえ感じられるダイヤモンドフレームを突き詰めて設計されている。
すでに32,000kmを走破し、耐久性も十分あることが証明されているが、製作費に45,000ドルをかけており、現時点では市販の予定はない。
それでも、現実にこれだけ軽量かつ実用に耐える製品の製造が可能であるとわかったことは大きな収穫と言え、今後の市販製品への応用が期待される。
大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など。