vol.1
「ルクシー」

新たに連載コラムを担当するテクノロジーライターの大谷和利です。AXIS本誌でも、毎号「information」コーナーでのプロダクト紹介をはじめ、特集原稿やインタビューを担当することもありますので、どこかで記事をご覧になったことがあるかもしれません。
 また、ソフトウェア開発者のためのNPO法人MOSAの副会長や、グッドデザイン賞パートナーショップである原宿のAssistOnの創立メンバーとして取締役も務めていますので、そちらの関連で接点のある方も多いのではないでしょうか。
 このコラムでは、誌幅の都合などから本誌に掲載できなかった製品情報などを大谷の視点で定期的に紹介していきます。では、さっそくスタートしましょう。


映像を、撮るものから切り出す存在へと変えるウェアラブルビデオカメラ
「ルクシー」

ルクシー(199ドル)は、子供のパーティでビデオカメラを操作することに煩わしさを感じた父親によって開発された、耳かけ型のウェアラブルビデオカメラである。

左右どちらの耳にもハンズフリーマイクのように装着でき、実際にそのための機能性も備えるこのカメラは、iPhoneまたはAndroidベースのスマートフォンとBluetooth通信で結ばれ、それらの画面をファインダー代わりに用いて、ユーザーの視点から過去5時間分の映像を記録し続ける。そして、残しておきたいと思う映像だけを任意の30分まで、または直近の30秒間にわたってスマートフォン内に保存することができる。あるいは、見たものを誰かと共有したければ、FacebookやYouTube、Twitter、あるいは指定のメールアドレスに瞬時に送信することも可能だ。

ルクシーは、映像を撮るというよりも、視覚的な記憶を切り出して残すデバイスと言える。そして、ネット世代のユーザーにとっては、それこそが待ち望まれていたビデオカメラの姿なのかもしれない。

大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など。