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川島蓉子 著『川島プロジェクト』

『川島プロジェクト』
川島蓉子 著(文藝春秋 1,500円)

ファッションの視点から、消費者や市場の動向を分析している川島蓉子氏。本書は、これまで川島氏が手がけた5つのプロジェクトを当事者自らが振り返ったものだ。どれも川島氏にとっては初めての取り組みばかりだったそうだが、「やれる・やれない」を問う前に「何か新しいコトができるというだけで、胸が高鳴った」というように好奇心が先に立ち、体当たりのようにぶつかっていく。いや、川島氏はそのように綴っているが、各プロジェクトにふさわしいクリエイターなどの専門家を選び、ゴールを明快に示し、メンバーのモチベーションを高めながら、クライアントと一丸となって回答を導き出していく。ところどころに「反省点は」といったような記述もあり、それがプロジェクトを推進した当事者だからこそのリアルな言葉として伝わってくる。

本書は、デザインプロジェクトがどのようなプロセスを経て実現していったのかといった実例としても参考になるが、そのほかに、プロデューサーの仕事とは何か、チームを率いるための極意、クリエイターの活用法、女性の目線などなど、読み手ごとにさまざまな解釈ができそうだ。なによりも、川島氏が、関わった人々とともに熱い思いでコトに当たっている姿に刺激を受ける。四六判、206ページ。

以下、目次より。

1.「おしかけデプス調査」の始まり
2. ホンダ「ライフ」のコラボプロジェクト
3. パナソニック「レッツノート」の天板カラーを作る
4. 池袋西武でギフト売り場をプロデュース
5. オムロンヘルスケアの女性向けプロジェクト