NEWS | アート
2010.08.02 11:49
147号(5月1日発売)から新連載「まばたきの記憶」が始まったアーティストの鈴木康広さん。その鈴木さんの最新作が、7月19日(月)に開幕した「瀬戸内国際芸術祭2010」における「ファスナーの船」です。高松港周辺を巡る10人乗りのボートで、作品名のとおり、ファスナーの形をしています。
鈴木さんから初めて「ファスナーの船」のアイデアを聞いたのは、今から3年ぐらい前のこと。すでに小さな模型を試作しており、池のなかを走る動画を見せてもらった記憶がありますが、当時の私は、鈴木さんの「いつか人が乗れるファスナーの船をつくりたい」という構想を聞いても、内心それは難しいのでは……と思っていたものです。
しかし、鈴木さんはこの計画をことあるごとに話していたそうで、瀬戸内国際芸術祭の参加を受けて活動を本格化させ、7月上旬には大雨のなか船としての検査に通過。芸術祭のオープニングでは、鈴木さんをはじめ関係者が乗船し、瀬戸内海をファスナーで「開く」ことに漕ぎ着けました。
その後、船への乗降に安全性を期するため、接岸できるところを再検討しているそうですが、近々一般客も乗れる準備が整うとのこと。乗船時間は、当初の予定では、高松港周辺の約15分です。
スケールアウトしたファスナーに乗船したら、人はどのように見えるのでしょうか? また、乗る際は、普通の船と同じような感覚なのでしょうか? 海を開く姿を俯瞰で見てみたいし、乗ってもみたい、そんな作品です。
なお、9月1日発売号のAXIS誌では、鈴木さんがオリジナルスケッチを交えつつ、「ファスナーの船」の秘密を解き明かします。