デザイン誌「AXIS」146号
発売中

カバーインタビュー「藤本壮介(建築家)」
自らの建築観を語る際、藤本壮介がたびたび持ち出す話がある。「巣と洞窟」のたとえだ。巣とは、機能性や快適性を見据えてつくられたもの。一方の洞窟は、あらかじめこうした要素が備わっているわけでなく、ただそこに場所のみが存在するイメージ。しかし、岩肌が剥き出しになった場所は、人の解釈や工夫を重ねることで、どのような空間にも変容する。話題作が続々と竣工するなか、“洞窟のようなものを創造したい”と語る建築家が、今考えていることとは?

特集「メディスン・アンド・デザイン 未来の医療へ」
医療の多様な場面において、ここ数年、デザインの関わりが目立ってきている。病院という建物からスペース、運営システム、検査や手術のための精密機器・器具、さらには人体そのものにまつわるものなど、かつては「デザイン」という言葉さえ見られなかった事象において、さまざまな課題を発展的に解決するというデザインの力が要求されているのだ。ここでは、デザインがいかに未来の医療をより良く変えていけるのかを最新事例とともに探っていく。

オピニオン「竹尾 稠(株式会社竹尾 代表取締役社長)」
ーーデザインとアート、商品と作品、その「際」の見極めが大事なのです。
1950年代より数々のファインペーパーを世に出し、新たなコンセプトで紙の可能性を追求し続けてきた竹尾。今年で45回目を数えた竹尾ペーパーショウでは、デジタル化が進むなか、改めて紙本来のあり方と可能性を問い直し、大きな話題を呼んだ。「ファインペーパーからファインプロダクトへ」という竹尾の今後の展開、そして紙の未来について聞いた。

トピックス「デジタルマガジンのUIデザイン 新たなアイデンティティの創出に向かって」
アマゾンのキンドルやアップルのiPadの登場で注目される電子出版分野。画面上で本のページがめくれるというだけで驚く層がいる一方で、先取性のあるメディア企業は紙のメタファから離れ、新しい情報ナビゲーションのインターフェースデザインを確立する道を選択した。その最前線を概観する。

トピックス「科学者とデザイナーによる地球を巡る議論と対話の場—日本科学未来館「地球マテリアル会議」
単にモノのデザインだけではなく、コトや場のデザインこそが必要と言われて久しい。科学やデザインの最前線でもそれは決して無縁ではない。科学者とデザイナーというフィールドの異なる専門家が集い、デザインの可能性を巡る対話の場。「地球マテリアル会議」にみる、これからの時代のモノづくりにおける対話の可能性を探る。

トピックス「風を変える、2つの発想・デザイン— バルミューダデザインの『グリーンファン』とグローバルエナジーの『ベルシオン風車』」
形のない風の本質をつかんで活用しようと、人類は流体力学などを駆使してさまざまな知恵を巡らせてきた。その試みは絶えず更新され、新しい驚きを呼ぶ。自然界の風を室内で再現したバルミューダデザインの扇風機。これまでの風力発電理論を覆したグローバルエナジーの風車。常識よりもひらめきを、理屈よりも実証を頼りに、見たこともない形のプロペラが回り出す。風を受け取り、風を生み出すための最先端技術が、日本の小さな工房から生まれている。

その他トピックス
「マシュー・カーターに宛てた2つのポスター作品」
「デジタルの意味を再解釈するトロイカ」

新連載 まばたきの記憶「アメンボのにわか雨」 文・スケッチ/鈴木康広

その他連載

ザ・プロトタイプ「デンソー プチネタ・ボックス」
ジェームズ・ダイソンの法則「エネルギー効率化のためのエンジニアリング」
モラルの土木「勝手にコンバージョン」
最終回 優しき生にの耕人たち「テッラ・マードレ」

産学共同の正しいやり方「東京工芸大学とさんてる」 ほか