神戸の六甲山や麻耶山から見下ろす夜景は、「日本三大夜景」「1000万ドルの夜景」などと称され、神戸市民が世界に誇る自慢の1つです。近年は、海の手からの夜景が観光都市・神戸のアピールに一役かっている感じですが、その代表が、ポートタワーと海洋博物館のライトアップシーン。
女性的なアウトラインで、長年にわたり神戸のシンボルとして市民に親しまれるポートタワー。日本で初めてライトアップされた建造物とされ、情熱的に真っ赤に染まります。その横に波のように力強く凛々しい海洋博物館のトラスが知的に白く染まるコントラストが絶妙です。緑の山と青い空を背景にした昼間の表情も絵になるシーンで、時代の流れを感じさせながらも絶妙な調和を保っており、ユネスコデザイン都市・神戸を象徴するような品のある風景だと感じていました。
そんなポートタワーが今年、完成後初の大改修工事が行われ、今時のLEDによるライトアップに。
とても残念な姿に変り果てました。どことなく上品でハイカラなイメージの神戸。その象徴が無残な電飾タワーに……。
東京では、近未来的なスカイツリーの建設が進んでいます。それはもちろんLEDにより光り輝くことでしょう。デザインと調和し、時代を象徴し、未来を照らすような光のタワーになって欲しいものです。夜景流行の昨今、世には夜景検定やら夜景鑑定士なる資格もあるようですが、いったいどんな評価をするのでしょうか……?(文/マックスレイ 商品研究所 所長 永井一夫)
この連載コラム「tomosu」では、照明メーカー、マックスレイのデザイン・企画部門の皆さんに、光や灯りを通して、さまざまな話題を提供いただきます。