「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展がスタート

▲アレクサンドル・ロトチェンコ「レンギスあらゆる知についての書籍/国立出版社レニングラード支部の広告ポスター」1924年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow

先週末に東京都庭園美術館で始まった「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展は、ふたりの芸術家にスポットを当てることで、ロシア構成主義の“核”となる考え方、そのデザインを知る格好の機会になっている。

▲立体未来派の影響が見られる1915年頃の油彩

▲ロトチェンコの「なめらかな色」(1921年)と題した、赤黄青の三部作。「何かを書く必要はない、必要なのは構築すること」と宣言し、これを最後に1930年代半ばまで絵画の制作から離れた

この展覧会がロシア構成主義を学ぶ人にとってわかりやすいのは、象徴主義風の油彩にはじまり、線を重視した抽象的な絵画になり、やがて絵画から離れて、グラフィック、建築、プロダクト、写真……と多分野に広がっていく様を、会場を進むごとに触れることができるからだろう。

▲ステパーノワによる舞台美術の下絵「椅子のデザイン」「揺り椅子のデザイン」1922年

▲ステパーノワによる「男性用運動着」「女性用運動着」「ドレスのデザイン」1923年

「芸術は彼らにとって、科学と同様に認識のための道具だった。ふたりは、創造とは新しき物のデザインであると考えた」(図録より)というように、社会と積極的に関わり、人々の日常の生活を豊かにする作品へと変化していった。それは、一部の裕福な人のためのものでなく、会場にある労働者の作業着のデザイン、「おしゃぶり」のポスターなどを見るように、ごく普通の人々に向けてつくられている。特にポスターは識字率の低かったロシアで、商品の内容や政治的プロパガンダを伝える役割を持っていたそうだ。

▲1923年前後のふたりの広告ポスター

▲ロトチェンコ「これより良いおしゃぶりはない。年をとるまで吸いたくなる/ゴム・トラストの広告ポスター」1923年 ©The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow

そのほか、アングルが特徴的な写真などを含めて、全170作品が一堂に展示されている。1つ1つの作品も新鮮だが、彼らの考えが現代に確実につながっていることが感じられる点で、多く人が刺激を受ける展覧会なのではないだろうか。


この展覧会の鑑賞券を5組10名様(先着順)にプレゼントいたします。

ご希望の方は、タイトルを「ロトチェンコ鑑賞券希望」として、氏名 (+フリガナ)、住所(+郵便番号)、所属名を明記のうえ、axismag@axisinc.co.jpまでお申し込みください。当選の発表は、鑑賞券の発送をもって代えさせていただきます。なお、本情報はロトチェンコ鑑賞券についてのご連絡以外には使用いたしません。


「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展

会 期:4月24日(土)〜6月20日(日)
開館時間:10:00〜18:00
休館日:第2、第4水曜日
観覧料:一般1,100円 大学生880円 小・中・高校生、65歳以上550円
会 場:東京都庭園美術館
    港区白金台5-21-9
    Tel: 03-3443-0201
主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、朝日新聞社、
    プーシキン美術館、ロシア連邦文化省

巡回予定:滋賀県立近代美術館 7月3日(土)〜8月29日(日)
     滋賀県立近代美術館 9月19日(日)〜11月7日(日)

▲ロトチェンコによる空間構成「卓上型5番 連作 組み立て式」 1918年