Hiroko Shiratori + Study O Portable Exhibition@sakumottoが
5月15日(土)まで開催中

▲Photo by Takashi Kato

家具デザインや空間演出など多彩な活動を展開しているクリエイター、白鳥浩子さんの新作家具展にお邪魔しました。

展覧会の会場は、中目黒のHAPPA内に今年2月にオープンした「sakumotto(サクモット)」。決して広いとはいえないスペースですが、床などに古い建物の痕跡が残されたリノベーション空間は、ギャラリー然とした佇まいとも異なり、変に気負うことのない居心地の良さを感じさせます。


白鳥さんが今回発表した「Punnetto」と呼ばれる家具は、まさにそんな空間にぴったりの雰囲気。什器の一部かと見まがうこのメイン作品は、シェルフとしても、テーブルとしても活用でき、アレンジ次第でどんな環境に適応するというフレキシビリティが魅力です。

▲”Punnetto”とはPunnett square(パネットの方形と呼ばれる雌雄の配偶子の遺伝子・型を縦横に書いた表)をもとにした造語だそうです。

素材や機能、あるいはつくり手の顔が主張し過ぎるあまり、息苦しく感じてしまうデザインというのは決して少なくありませんが、白鳥さんの作品には、そのような変な気負いがありません。DIY素材のような身近なマテリアルを用い、できるだけシンプルな工法で機能を満たそうとする姿勢。そこにちょっとしたユーモアであったり、繊細な配慮を加えることで、日常使いの家具としての魅力を高めているような気がします。

▲イーゼルのような形をしたこちらが、コートラックの「alone」。部屋の中に“もうひとりの自分”がいるかのような存在感を漂わせます。コンパクトにたたむことも可能。

会場では「Punnetto」のほか、昨年のデザインタイドで発表されたスツール「Build」を発展させた「Build outlet」(座面に端材を用いる)や、ロンドンで発表された「alone」と呼ばれる自律式のコートラックなども見ることができます。また、展覧会のタイトルからもおわかりのように、会場には白鳥さんの作品に加え、彼女のRCA時代の友人、ベルナデッテ・デデンスさんがパートナーである向井徹夫さんと運営するStudy O Portableのアクセサリーなども並ぶコラボレーション展示となっています。「ただのアクセサリーではなく、構造的な事象にフォーカスをあてた作品」(白鳥さん)というところに、白鳥さんの家具と共鳴する何かがあるのでしょう。

▲ワークショップ用に集められた端材は、スツールの座面に用いるためのもの。参加者が自由に選択することで、世界に2つとないオリジナルの椅子が完成します。

5月5日(水)の14時からは白鳥さんとともに「Build outlet」をベースにしたオリジナルスツール制作のワークショップも予定されているようです。こちらは、先着20組までの予約制となり、参加費は材料費込みで6,000円とのこと。まだ余裕があるようなので、興味のある方は下記までお問い合わせを。ワークショップ終了後には打ち上げも兼ねたささやかなパーティーも予定されているそうです。

Punnetto square
会期:2010年4月16日(金)~5月15日(土)12時~19時、日休
会場sakumotto(〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-30-6 HAPPA内 左手ドアより奥にお進みください)
電話:03-6303-0071
e-meil:info@sakumotto.jp

白鳥浩子/1978年千葉県生まれ。東京造形大学にて家具デザイン、ロンドンのチェルシー大学で空間デザインを専攻後、英国王立大学のデザインプロダクツ科を2006年に修了。以後、ロンドンにてフリーランスデザイナーとして活動、またRCAの同級生とともにデザインコレクティブスタジオOKAYstudioを設立する。現在は活動のベースを日本に移し、家具、インスタレーション、空間のデザインおよび制作を行う。RCA時代に手がけたプロジェクト「近代日本の不思議な道具」を、本誌129号の特集内にて紹介しています。