NEWS | インテリア / ビジネス
2009.12.21 19:22
プロデュース入門―オリジナリティが壁を破る
平野暁臣 著(イースト・プレス 1,890円)
空間メディアプロデューサーであり、岡本太郎氏が設立した株式会社 現代芸術研究所の代表を務める著者。2006年、タイ・バンコクで開催された日本のデザインを紹介する展覧会や、「『明日の神話』再生プロジェクト」に際してお話する機会を得たが、デザインを客観的に分析する目線や構成力、メキシコで見つかった超大型の壁画を修復し、JR渋谷駅に設置するまでの道のりなど、氏のプロジェクトはどれも並外れたプロデュース力がなければ実現しなかったものだったに違いない。
本書で平野氏は、プロデュースとは、決して特別な仕事でも、特殊な技術でもないと言う。そして、今や誰もが身につけるべきスキルだと語っている。
自らの体験を振り返り、プロデュースの仕事を10項目(構想/計画/編制/解述/監修/予測/調整/管理/承認/渉外)に分けて解説。絶対的なプロデュース論やプロデュース学はないのだから、自分なりの「やり方」を見つけるための参考にしてほしいと綴る。270ページ。
TAKEO PAPER SHOW 2009―言葉のペーパーショウ SUPER HEADS’
株式会社竹尾 編/原 研哉 企画・構成/松下 計 アートディレクション(朝日新聞出版 3,780円)
2009年4月に開催された竹尾ペーパーショウは、例年とは異なり、27人の識者がそれぞれ30分間で「紙」について語るという講演会形式で行われた。本書は、その全講演記録をまとめたもの。企画・構成に携わった原 研哉氏は、「メディアの多様化とともに紙の位置づけが曖昧になりかけている」と指摘し、だからこそ「紙の力を適切に解説する言葉が今、必要なのだ」と語りかける。
27人のスピーカーは、デザイナーやクリエイターだけでなく、出版側の人、印刷や製紙会社の代表、感性の視点から語るトレンドクリエイターなど多彩な人選。B5判並製 296ページ。
糸あやつりの万華鏡 ― 結城座 375年の人形芝居 ― (INAX BOOKLET) (INAX出版 1,575円)
結城座は、1635年、徳川三代将軍・家光の時代に、日本橋で誕生した糸あやつり人形一座。現在は国の無形文化財に指定され、十二代目結城孫三郎を座長に、国内外で公演を重ねている。
本書の外部作家と共同で制作した人形たちや舞台の写真を眺めていると、静止している人形でさえ雄弁に語りかけてくるようだ。そのほか、人形づかいの技術、関係者のインタビューなども収録し、他に類するものない結城座の活動とその魅力をあますことなく紹介する。A4判変型 並製 75ページ。
目次 人形は語る
串田和美/山口小夜子/寺門孝之/林 静一/飯野和好/結城美栄子
満員御礼 糸あやつりの万華鏡
第一部 平成のぞきからくり 破れ傘長庵
第二部 乱歩・白昼夢
Making of RAMPO 幕が開くまで
Interview 参加クリエイターに聞く
斎藤 憐/宇野亜喜良/黒色すみれ/齋藤茂男
「傀儡」の家に生まれて
十二代目結城孫三郎/結城千恵
結城座考 糸あやつりの妖艶
七代目市川染五郎/唐 十郎 など……