REPORT | グラフィック / 建築
2009.12.14 19:10
グラフィックデザイナーの肖像
株式会社竹尾 プロデュース/平野敬子 企画・編集(新潮社 3,360円)
2004年1月から2006年7月まで、竹尾の見本帖本店で開かれた公開対談「グラフィックデザイナーの肖像」。グラフィックデザインの礎を築いた先達たちに、後進デザイナーたちが話を聞くというこの対談が、1冊の書籍にまとまった。また、巻末に収録された、竹尾五代目社長の竹尾 稠氏と平野敬子氏の対談によって、同社の企業姿勢もよく伝わってくる。2009年11月に創立110周年を迎えた竹尾は、常にクリエイターとともに歩む、日本に数少ないデザインオリエンテッドな企業だろう。A5判 ハードカバー 函入り 408ページ。
対談のゲストとインタビュアーの組み合わせは、下記のとおり。
第一章 杉浦康平ーー原 研哉
第二章 永井一正ーー平野敬子
第三章 早川良雄ーー廣村正彰
第四章 勝井三雄ーー松下 計
第五章 福田繁雄ーータナカノリユキ
第六章 仲條正義ーー服部一成
第七章 松永 真ーー工藤青石
第八章 佐藤 晃一ーー澤田泰廣
第九章 五十嵐威暢ーー佐藤 卓
対談 竹尾 稠ーー平野敬子
ブランドはNIPPON
川島蓉子 著(文藝春秋 1,800円)
伊藤忠ファッションシステムに籍を置く著者の川島蓉子さんは、どうしたら、こんなにたくさんの本を書けるのだろう?と思うくらい、次々とデザイン書を発表している。本書のキーワードは「NIPPON」。メイド・イン・ジャパンこそが世界に誇るべきブランドだと、この国でものづくりに携わる人々にエールを贈っている。登場する5人のクリエイターやプロデューサーをすでに知っている人でも、川島氏の徹底したインタビューによって、新たな側面が浮かび上がってくるに違いない。四六判上製カバー装 288ページ。
目次 minä perhonen/皆川 明(ファッションデザイナー)
NUNO/須藤玲子(テキスタイルデザイナー)
SIMPLICITY/緒方慎一郎(クリエイティブディレクター)
Sfera/真城成男(Sfera代表)
Minobe Artifact/美濃部順一郎(美濃部巧藝代表)
とんぼの本世界の名作住宅をたずねるルイス・バラガンの家
ワタリウム美術館 編(新潮社 とんぼの本 1,575円)
2010年1月24日(日)までワタリウム美術館(東京・外苑前)で開催中の「ルイス・バラガン邸をたずねる」。その展覧会と同期して刊行された本書は、メキシコシティのバラガン邸を撮り下ろしの写真と、バラガン本人の言葉で紹介する。今なお建築の聖地の1つとして訪れる人が絶えないこの住宅は、本書を繰るだけで、心地よい、安らかな空気に満ちた空間だろうと想像させる。A5判 143ページ。
目次 1章 ルイス・バラガン邸をたずねる
玄関/ホール/リビングルーム/庭/書斎/ゲストルーム/パティオ/
ダイニングルーム/朝食室/寝室/衣装室/テラス
2章 バラガン建築めぐり メキシコシティの全作品
庭の秘密:オルテガ邸
荒地に花を:ペドレガル公園
郷愁の様式:プリエト・ロペス邸
祈りのために:カプチーナス修道院
色のよろこび:ガルベス邸
首都のシンボル:サテリテタワー
水と光:ヒラルディ邸
昨日みたバスに乗って
小林紀晴 著(講談社 1,785円)
著者は写真家として著名だが、小説家でもあることを本書を手にして初めて知った。すでに『十七歳』『旅をすること』などの小説やエッセイ集を数多く著されているのだ。『昨日みたバスに乗って』は、9.11直後のニューヨーク、メキシコ、インドを経て、再びニューヨークへと続く旅物語。表題のほか『群像』『小説現代』に掲載した短編3本を収録している。四六判 276ページ。
目次 トムヤムクン
昨日みたバスに乗って
ガンジスに問う
海までの道順