NEWS | 展覧会
2009.11.07 17:31
「ghost stories」と名づけられたnendoの展覧会は、ニューヨークのコロンバス・サークルに建つ「ミュージアム・オブ・アート&デザイン」(通称、MAD)内に今年2月にオープンした「The MAD Projects Gallery」を会場に行われています。展覧会の核となるのは4つの近作。それらを、「illusion(幻想)」「humor(ユーモア)」「surprise(驚き)」といった切り口で紹介します。
4月のミラノサローネで発表された「blown-fabric(ブロウンファブリック)」は記憶に新しいところですが、今回の展示ではこの作品をさらに発展させ、吹きガラスのように吹くことでひとつひとつ形や大きさの異なるランプに仕上げた「blown-color 」(ブロウンカラー)」がお目見えします。キノコが生い茂るがごとく、カラフルな提灯がいくつも並んだ光景は、何とも魅惑的です。
マルニ木工より発表された「cord-chair(コードチェア)」は、直径わずか15mmという文字通りコードのように細いフレームで構成された姿が見る人の好奇心を惹き付けます。繊細(あるいは華奢)な外観にもかかわらず、驚くほど強度、耐久性に優れた椅子は、脚部に9mm厚のスチールの骨組みを差し込むことで可能となったもの。柔らさと温かみを兼ね備えた表情と、その下に隠された強靭な骨組という構造上の新たな関係性が、機能や美といった価値基準に止まらず、驚きやユーモアといった魅力をこの作品に付与しています。
床面から浮き立つ6脚の椅子は、「fade-out chair(フェイドアウトチェア)」と名づけられた作品です。もちろん実際、椅子が宙に浮かんでいるわけではありません。脚部の下半分をアクリル材のままとし、上半分には木目調のペイントが施されています。クリア部分は床面や背景と同質化。そんなトロンプルイユ的な手法が、ちょっとした錯覚効果を生み出しているのです。
「phantom-waves(ファントムウェーブス)」も、錯覚効果を狙った作品です。複数のブロック(塊)を積み上げたかのようなフラワーベースの中を、1本の枝が突き抜けるというその光景に、どうして? という疑問が思わず芽生えます。繋がっているように見えて繋がっていない。あるいは、繋がっていないように見えて繋がっている。偏光板によって光が生み出す錯覚効果をたくみに取り入れた作品は、見る人の知覚を多いに揺さぶることでしょう。
エンターテインメントの都と言われるニューヨークで繰り広げられるデザインイリュージョニストのショーは、2010年1月10日(日)まで。驚きや楽しさに満ち溢れた展覧会、実際その目で体験することをお薦めします。
Ghoast Stories, New Designs from Nendo
会期:2009年10月27日(火)~2010年1月10日(日)
会場:Museum of Arts and Design
2 Columbus Circle, New York, NY 10019, USA
Tel. +1-212-299-7777